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猪目洞窟:出雲詣 その7

出雲大社の周辺での昼ご飯を諦めて、大社と神楽殿の間を通る狭い山道を進み、鷺峠を超えて鷺浦湾に出た。この辺は、北前船が風待ちで訪れる港だったという。ギャラリーしわく屋に到着。
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しわく屋は江戸時代から明治までは北前船の船主だったそうで、瀬戸内海の塩飽諸島からの船乗りの船宿だったとか。今はギャラリー兼カフェを営んでいる。

着いたのが遅かったので、蕎麦はこれで終いでした。
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丁寧に手を込められた料理でおいしかった。この旅、食事の当り外れが極端です。

 

鷺浦湾から県道23号を東に進み、三つトンネルを抜けるとすぐに猪目洞窟の看板がある。先に、猪目海水浴場が見えた。
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振り返ると見事な海岸段丘。
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トンネルの手前は橋になっている。

橋の上から覗く。
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モーターやコンテナ等がごちゃごちゃと置いてある。

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いやはや、どう見ても物置ですね。

県道脇の案内板。
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国指定史跡  一九五七(昭和三二)年七月二七日指定

猪目洞窟遺物包含層

県指定文化財  一九七四(昭和四九)年一二月二七日指定

猪目洞窟遺跡出土遺物

この洞窟遺跡は、一九四八(昭和二三)年に、漁船の船置場として利用するため入口の堆積土を取り除いた時に発見されたものです。
 凝灰岩の絶崖にできたこの洞窟は、東に向かって開口しており、幅約三〇m、奥行き三〇mあります。
 この遺跡は、縄文時代中期の土器片も少量採集されていますが、弥生時代以降、古墳時代後期まで(二三〇〇~一四〇〇年前)の埋葬と生活の遺跡といえます。
 埋葬の遺跡としては、人骨が一三体以上見つかっており、特に注目されるものとしては、南海産のゴホウラ製貝輪をはめた弥生時代の人骨や、舟材を使った木棺墓に葬られた古墳時代の人骨、稲籾入りの須恵器を副葬した人骨などがあります。
 生活の遺跡としては、各種木製品、土器、骨角器などの道具や、食料の残滓と思われる貝類、獣骨、鳥骨、魚骨、木の実など、また多量の灰などがあります。
 出土品は、現在出雲弥生の森博物館(出雲市大津町)で保管されています。

 二〇〇八(平成二〇)三月
 出雲市出雲市教育委員会

 道路脇にある横道を下る。
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小道の途中にあった案内板。
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猪目洞窟

  古代の人々は、死者の世界を「黄泉」と表現していました。『出雲国風土記』には、「夢にこの磯の窟の辺に至れば、必ず死ぬ。故、俗人古より今に至るまで、黄泉の坂、黄泉の穴と名づくるなり」と書かれ、「夢の中でこの洞窟に行くのを見たならば、必ず死んでしまう。ここは昔から黄泉の坂、黄泉の穴と呼んでいる」と記されています。
 古代には、この洞窟は「あの世」につながると信じられていたようです。

 『出雲国風土記』の出雲郡宇賀郷の部分、北海の浜に脳磯(なづきのいそ)があり、そこから西に高さ広さ六尺ばかりの窟があって、案内板にある夢の話が記されていた。

 

小道の途中から海側を眺める。橋の下が船置場になっている。
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史跡とは思えない光景。

 

洞窟内にも案内板。
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国の史跡猪目洞窟案内
この大洞窟は猪目湾の西端に位置し凝灰岩の海食により出来たもので東方に開口している。
古く出雲風土記の「黄泉の穴」に当たると推定され数々の怪談が伝えられていた。
去る昭和二十三年に船揚げの場の拡張工事をしていた際、凝灰岩微砂、石片、石塊などの推積層から多数の人骨や遺物が出土した。
出土品は弥生時代から古墳時代にかけてのもので、人骨は十数体あり、屈葬と伸展葬の両式がみられ腕にはめた貝輪やたかつき大小のつぼ等の副葬品が多数あった。
又多くの木器、貝類、鳥獣、魚骨、其の他稲もみ、木の実、海藻類更に炉の跡、木灰、木炭等往時の生活を物語る貴重な遺物が発見された。昭和三十二年国の史跡に指定されている。

淡緑色と黒色の縞模様からなる海食崖が斜めに走る。
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小さな祠がある。手書きで魚見神社と書かれていた。
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漁業関係者が漁の安全と大漁を願って祀ったと思われる。

この辺になると自然と背を屈めたくなる。天井の岩肌から雫が垂れていたので、先に進む気にはなれなかった。
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穴の奥を見つめていると、なんだか嫌な気分になってくるのだけれど、振り返るとこんなにも生活感あふれた状態なわけで。
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むやみに恐れる必要はないと思わされた次第です。