奇想の系譜展(前期)@東京都美術館
東京は今年初の雪の予報だというのに、朝からいそいそとお出かけしまして、上野駅構内のたいめい軒でオムライスモーニング。
すっかり満足した所で上野公園に向かいます。木々にうっすらと雪がつもっていました。
東京都美術館に向かいます。
門前に混雑はなさそうです。
奇想の系譜展~江戸絵画のミラクルワールド~です。
開館時間5分前に到着しましたが、前倒しで開場していました。
どうしたんだろう。入場規制するくらい混雑している訳でもなさそうだったのに。
ということで、ほぼ開場時間に入場しました。地下一階の入り口はいってすぐが伊藤若冲のゾーンという実にえげつない構成です。今後宣伝が行き届いて混雑が始まったら、入り口は身動き取れなくなりそうです。
- 幻想の博物誌 伊藤若冲(1716-1800)
- 醒めたグロテスク 曽我蕭白(1730-1781)
- 京のエンターティナー 長沢芦雪(1754-1799)
- 執念のドラマ 岩佐又兵衛(1578-1650)
- 狩野派きっての知性派 狩野山雪(1590-1651)
- 奇想の起爆剤 白隠慧鶴(1685-1768)
- 江戸琳派の鬼才 鈴木其一(1796-1858)
- 幕末浮世絵七変化 歌川国芳(1797-1861)
以下、気になったものをタイトルだけ残します(◉は国宝、◎は重要文化財、◯は重要美術品)。
幻想の博物誌 伊藤若冲(1716-1800)
《1 旭日鳳鳳図 一幅 絹本着色 宝暦5年(1755) 宮内庁三の丸尚蔵》
《8 梔子雄鶏図 一幅 絹本着色》
《16 象と鯨図扉風 六曲一双 紙本墨画 寛政9年(1797) 滋賀・MIHOMUSEUM》
入り口から入って真っ先に目に入る位置にある。大きく迫力がある上に滑稽なのとで、そのサービス精神に笑わずにはいられない。像の臀部だけでご飯のおかわりができるほどお気に入り。
《17 鶏図押絵貼屏風 六曲一双 紙本墨画》
最晩年の作、雌鳥の簡略化が進む。
醒めたグロテスク 曽我蕭白(1730-1781)
《20 雪山童子図 一幅 紙本着色 明和元年(1764)頃 三重・継松寺》
本展のメインビジュアル。羅漢のどぎついほどに鮮やかな青い肌、そして偏愛的な指の表現が目に残る。
《21 ◎唐獅子図 双幅 紙本着色 明和元年(1764)頃 三重・朝田寺》
《28 富士・三保松原図屏風 六曲一双 紙本墨画淡彩 宝暦12年(1762)頃 滋賀・MIHOMUSEUM》
三つに別れた富士の頂き、海まで続く長い裾野、島々にかかる鮮やかな虹。まだ記憶に新しいのですが、それでもやはりその奇妙な世界感に魅入ります。
《29 ◎楼閣山水図屏風 六曲一双 紙本墨画淡彩 滋賀・近江神宮》
金で水平に引かれた霞が面白い。
京のエンターティナー 長沢芦雪(1754-1799)
《31 龍図襖 八面 紙本墨画 島根・西光寺》
迫力がある。大きく描けるのはそれだけで素晴らしいなと。
《33白象黒牛図屏風 六曲一双 紙本墨画 米国・エツコ&ジョー・プライスコレクション》
牛の口元の柔らかさ、カラスの動き。狭いところに飾ってあったので、なおさら像と牛が大きく見えた。
《35 雲龍図 一幅 絹本墨画 東京黎明アートルーム》
にじみによる雲がたなびく表現が美しい。
《37 猿猴弄柿図 一幅 絹本着色》
五つの柿と猿の臀部の赤が目に残る。
《43 万広寺大仏殿炎上図 一幅 紙本淡彩 寛政10年(1798)》
建物から湧き上がる炎と煙に圧倒される。
執念のドラマ 岩佐又兵衛(1578-1650)
《48 ◎山中常盤物語絵巻 第四巻 一巻 紙本着色 静岡・MOA美術館》
ここは大行列になっていたので、人の頭越しに好きなところだけを流し見しました。
《53 ◎伊勢物語梓弓図 一幅 紙本着色 文化庁》
色っぽい。好きなものは何度見ても良いですね。空いていたので好きなだけ観ていられました。
《56◎弄玉仙図 一幅 紙本墨画淡彩 千葉・摘水軒記念文化振興会財団》
旧金屋屏風の一扇。弄玉は秦の穆公の娘で、簫が巧みで、吹くと鳳凰が飛来したという伝説がある。鳳凰が好む桐の樹の下で簫を奏でる弄玉を描いた、漢画風の作品。
《58 ◯龐居士図 一幅 紙本着色 福井県立美術館》
旧金山屏風の一扇。松の根本に腰掛けて竹籠を作る禅僧龐居士とその妻龐婆を描いたもの。
《65 ◎豊国祭礼図屏風 六曲一双 紙本金地着色 愛知・徳川美術館》
狩野派きっての知性派 狩野山雪(1590-1651)
《67◎梅花遊禽図襖 四面 紙本金地着色 寛永8年(1631) 京都・天球院》
《69◎蘭亭曲水図屏風 八曲二双 紙本金地着色 京都・大本山 随心院》
《68 龍虎図屏風 六曲一双 紙本着色》
奇想の起爆剤 白隠慧鶴(1685-1768)
《74 達磨図 一幅 紙本墨画 静岡・永明寺》
大きな掛け軸に描かれた半身達磨。太く描かれた衣の線が迫力ある。離れて見ると白目だけにしか見えず不気味な表情。右斜めを見る小さな黒目が判別できると、剽軽な表情にも思えてくる。
《78 蛤蜘観音図 一幅 絹本着色 東京・永青文庫》
蛤から現れた観音様の回りには、龍王や魚介類を頭につけた海の生き物の化身?が集まって拝んでいる。ホタテならヴィーナスの誕生。
《80 布袋図 一幅 紙本墨画 東京・永青文庫》
丸めた筒から顔を覗かせ、市井の人々を眺める布袋。筒には文字が書かれていて、左側の文字は裏から書いたのか。
《82 無 一幅 紙本墨書 岐阜・久松真一記念館》
妙に気に入った。薄墨で書かれた「無」に斑点が加えられている。確かに、真っ暗闇にいると闇の濃淡が見えることがあるもんね。
江戸琳派の鬼才 鈴木其一(1796-1858)
《85 夏秋渓流図屏風 六曲一双 紙本金地着色 東京・根津美術館》
何度観ても迫力ある。そして気持ち悪いわあ。
《86 百鳥百獣図 双幅 絹本着色 天保14年(1843) 米国・キャサリン&トーマス・エドソンコレクション》
初の里帰り作品。美しい花々と、実在の動物から麒麟や獏などの想像上のものまで細密に描いた双幅。単眼鏡必須。
幕末浮世絵七変化 歌川国芳(1797-1861)
《94 一ツ家 一面 顔料、板、額 安政2年(1855) 東京・金龍山浅草寺》
浅草寺に奉納された巨大絵馬。自分の娘を殺そうとする鬼婆。その横に静かな表情で佇む観音菩薩の化身が描かれている。
《97 宮本武蔵の鯨退治 大判三枚続 弘化4年(1847)頃》
荒れ狂う波の中、大判三枚の大画面いっぱいに描かれた鯨の迫力。
《96 相馬の古内裏 大判三枚続 弘化2~3年(1845~46)頃》
《100 讃岐院眷属をして為朝をすくふ図ー鰐鮫ー 大判三枚続 嘉永4年(1851)》
ざっと一周目を終えた所でエレベーターホールから外を見たら、結構な雪になっていました。
この後二週目を回りましたが、全体的にそれほど混雑もなく落ち着いて観ることができました。並ばざるを得なかったのは絵巻ぐらいでした。作品説明が少ないので、人が滞留せずにすんでいます。ただし、作品番号がとても見づらくてメモを取るのに一々苦労しました。