トークイベント「雪舟 vs 白隠 達磨図に迫る」@東京国立博物館 平成館
禅ー心をかたちにー展を見た後は、大講堂に移動して山下祐二氏と山口晃氏のトークイベントに参加しました。380名収容の大きな会場ですがチケットは完売だそうで、なんてすごい集客力。
まずは、椅子座禅を体験。講師の臨済宗臨済宗妙心寺派松泉寺副住職森昌寛師と東京禅センター中山宗祐師のご指導の下、2分間椅子に座って心を静かにしました。
そして、講師のお二人が登場。先に山口晃氏の画業紹介があり、山口氏が昔は極貧だけど時間が山のようにあったと懐かしみながら《邸内見立 洛中洛外図》の細かな絵解き話をして会場を沸かせました。11月2日からはミヅマアートギャラリーで個展「室町バイブレーション」が始まっていることも紹介があったのですが、オープンの様子がスクリーンに映し出されると、山口氏をよく知っている会場にいる人の口々からクスクスと笑い声が漏れました。今回も個展中に製作する姿が見れそうです。
⇒この時も白かった。
いよいよ話題が禅画に移ります。
スクリーンに《雪舟 慧可断臂図》と《白隠 達磨図》が映し出されて、山下先生が「どっちがほしい?」と尋ねると、山口氏はすかさず雪舟の絵を指差しましたが、すぐに打ち消して「でもなんか、管理に気を使わなくてよさそうだからこちらかもしれません」と。ひどい(笑)
《雪舟 慧可断臂図》についての解説は、一週間前のトークショーでも取り上げていたので重複するところが多かったのですが、山下先生と赤瀬川原平氏の《慧可断臂図》コスプレ写真も飛び出して、また面白く聞けました。
《雪舟 秋冬山水図》については、山口氏も著書で取り上げる程に思い入れがあるそうで、スクリーンに映し出された《冬図》についてお二人で熱心に解説されました。雪舟は抽象に踏み込んで、三次元を二次元に再現する意識から二次元を二次元として作る意識へと移行していると、セザンヌの話も交えながら、結びました。
次に、今回禅展の顔となる《白隠 達磨図》がスクリーンに映し出されて、話題は白隠に移ります。最晩年の画でよい意味で脱力している。顔の書き方も記号化しているし、下書きもズレまくり。若いころの永明寺所蔵の《半身達磨》と比較すると、その意識の差は歴然であるとの話。
《白隠 円相図》はじわじわと筆の速度にむらをつけながら、むらがたらし込みのようにもなっていたりして、ここに宇宙の真理があるとかこれぞ哲学だとか言いたいところだけど、その横には「遠州浜松よい茶の出所、娘やりたや」何とかかんとかって全く関係ない言葉が書いてある。これを日常生活にこそ真理があるって意図じゃないかとのこと。
最後は駆け足になりましたが、トークショーの最後には山口氏が即興で達磨を描くことに。
遠くて絵が見えなかったのが残念でしたが、公式サイトにアップされましたので、そちらをご覧ください。
最後に写真撮影。遠くてよくわかりませんが、雰囲気だけ感じ取ってください。