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絵巻マニア列伝@サントリー美術館

今年サントリー美術館は六本木開館10周年を迎えました。その記念として開催される展覧会の第一弾が絵巻マニア列伝展です。開催初日に行ってきました。

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この展覧会の視点は歴代の絵巻愛好者にあります。絵巻の展示はもちろん、絵巻を愛した後白河院、花園院、後崇光院、三条西実隆、そして足利歴代将軍の鑑賞記録などをたどります。

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以下、気になったものを記します(◉は国宝、◎は重要文化財、◯は重要美術品)。

序章:後白河院

1《◉法然上人絵伝 巻十 四十八巻のうち一巻 鎌倉時代 14世紀 京都・知恩院
法然上人の生涯の行状を描いた伝記絵。後白河院の御所、法住寺殿で、似絵の名手藤原隆信法然上人の肖像を描く場面がある。また、日本の絵巻のなかで最も巻数の多い絵巻としても知られている。

8《◎病草紙断簡 不眠の女 一幅 平安時代 12世紀 サントリー美術館
病草紙はそもそも当時の種々の奇病や治療法など風俗を集めたもので、戦後同絵巻が各段ごとに切離されて現存するのは21場面。輪廻転生する六道のうち人道の苦悩を描いたもの。同輩の女、子どもが熟睡している中、眠れずに半身を起して灯りの元で時を数える一人の女が描かれている。

【コラム】京文化マニア源実朝と絵巻

19《東鑑 巻十九(承元二年~五年記)巻二十(建暦二年記)五十二冊のうち二冊 文禄5年~慶長年間(1596~1615)頃写 明治大学図書館
東鑑は鎌倉時代に成立した日本の歴史書で、鎌倉幕府の初代将軍・源頼朝から第6代将軍・宗尊親王まで6代の将軍記。その中に、源実朝が京から届いた奥州十二年合戦絵巻を鑑賞したという記述がある。

22《九相図巻 一巻 江戸時代 17世紀写 個人蔵》
屋外にうち捨てられた死体が朽ちていく経過を九段階にわけて描いた仏教絵画。平安時代の美女と誉れ高い小野小町は葬る者もなく野ざらしにされたという伝説がある。今回展示されていたのは、噉相(たんそう)、骨相、散相の部分。

第1章:花園院

24《春日権現験記絵 巻九 鷹司基忠 筆 / 高階隆兼 画 二十巻のうち一巻 延慶2年(1309)頃 宮内庁三の丸尚蔵館
春日神社だけでなく、興福寺とその寺僧にまつわる話もある。本格的な大和絵技法で、700年前のものとは思えないほど色の残存がよいのに驚かされる。

26《◎駒競行幸絵 一巻 鎌倉時代 14世紀 和泉市久保惣記念美術館
栄花物語にあるこまくらべの行事を絵画化したもので、藤原頼道邸での儀式前後が描かれている。展示されていたのは、東宮が高陽院に到着した場面で、中央に門があり、外には東宮の乗っていた豪華な唐車、門の内側には緑色の筵の上を寝殿に向かって歩いていく東宮と、それを警護する者らの姿を描いている。警備の一人が、入り込んだ見物人に弓をかざして追い立てている。

27《◎矢田地蔵縁起絵巻 二巻 鎌倉時代 14世紀 京都・矢田寺》
矢田寺の本尊矢田地蔵菩薩の利生(りしょう)を説いた縁起。同寺の中興満米上人が閻魔大王に招かれて王宮で説法をした。そのお礼にと地獄を案内されて、そこで生身の地蔵に会う。この世に帰ってから地蔵の姿を写し本尊として寺を開くという開創譚。
人物など、かなりおとぼけ顔。説明文には「人物は大ぶりだが」とあり、そう表現するのかと感心した。

第2章:後崇光院・後花園院 父子

33《彦火々出見尊絵巻 巻三・巻四 六巻のうち二巻 江戸時代 17世紀写 宮内庁三の丸尚蔵館
後崇光院にとっては一度は見たい幻の宝蔵絵だった。古事記日本書紀にみえる兄火闌降命の海幸と弟彦火火出見命の山幸の神話を潤色したもので、彦火火出見尊(若狭彦神社祭神)と海神の女豊玉姫(若狭姫神社祭神)との婚姻説話。
サカナくんとかサザエ男とか、ユーモラスな場面が多くて面白い。

35《◉玄奘三蔵絵 巻四・巻八 十二巻のうち二巻 鎌倉時代 14世紀 藤田美術館
唐時代の僧 玄奘三蔵の一生を描いた全12巻の絵巻で、絵の様式から宮廷絵所預高階隆兼が関わったと考えらている。かつては興福寺大乗院の秘宝とされていた。建物や風景が緻密に描かれ、色彩も豊か。中世やまと絵の最も完成された姿を現在に伝えている。

37《◎福富草紙 二巻 室町時代 15世紀 京都・春浦院》
室町時代御伽草子および絵巻。貧しい老人高向秀武が放屁の珍芸によって長者となり、それをまねた福富は大失敗すると言うもの。物うらやみをいさめた風刺滑稽談。
この絵巻のすぐ近くに放屁合戦絵巻があり、この辺一帯の空気が黄色になっていそうな雰囲気だった。昔から下ネタは鉄板だったのだなと。

40《天稚彦物語絵巻 巻下 二巻のうち一巻 江戸時代 17世紀写 サントリー美術館
御伽草子に収録されている物語。日本版の七夕物語ともいえる内容で、彦星に相当する男性が天稚彦、織姫に相当する女性は長者の末娘となっている。結婚に反対する父鬼から難問を出された娘が、つぎつぎに問題を解決する。

第4章:足利将軍家

55《硯破草紙絵巻 一巻 明応4年(1495) 細見美術館
源義高の愛玩品。様式から土佐光信筆と考えられている。普通の絵巻の天地半分ばかりの小品絵巻(小絵)。大納言の留守中に硯を割ってしまった者をかばった若君が、勘当された挙句遠方で死んでしまうという救いのない話。

終章:松平定信

62《◉法然上人絵伝 巻三十四 四十八巻のうち一巻 鎌倉時代 14世紀 京都・知恩院
法然上人の絵巻は信仰心から数多く製作された。中でもこれは大部を誇り48巻全てが残る。詞は上皇らの寄書き、絵は宮廷絵師の合作。 

63《古画類聚 肖像人物服章 松平定信 編 三十六巻のうち一巻 江戸時代 18世紀末~19世紀初 東京国立博物館

故実の図譜として150点近い絵巻から2657場面を選び、当時の建築、風俗を写し分類再編成したもの。絵巻の修復や伝統物を後世に残すため。

65《蒙古襲来絵詞 後巻 二巻のうち一巻 鎌倉時代 13世紀 宮内庁三の丸尚蔵館
鎌倉時代後期の作で、肥後国御家人竹崎季長元寇における自分の戦いを描かせたもの。新井白石が武器考証で紹介してから有名になった。古馬なので当然だが側対歩になっていたのが興味深い。 

67《石山寺縁起絵 巻一・巻四 谷文晁模 七巻のうち二巻 江戸時代 19世紀写 サントリー美術館
滋賀県大津市にある石山寺の創建と本尊観世音菩薩の功徳の数々を描き表した寺社縁起絵巻。松平定信が谷文晁に巻6、7の補作を命じた。

 

今回、予想外に疲れました。絵巻に加えて、絵巻マニアその人についても語られるため、とにかく情報量が多い。覗き込むような姿勢が続くので足や腰に負担が大きく、一気にはとても見続けることができず、途中二度ほどソファで休憩して、展示室に三時間半滞在しました。最後の方は疲労でどれだけ説明文を目で追っても、頭に入らなくなりました。耳栓をし忘れたのも敗因かも。それにしても、休憩できる場所がもう少し欲しかったなあ。

 

サントリー美術館のすぐそばで、東京ミッドタウンアワード2016の受賞作品が展示されていました。どれもこれも、クスッと笑わせてくれる素敵なものばかり。

www.tokyo-midtown.com

《トロフィー(Ver.2016)清水敏男》
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受賞者に送られるトロフィー。

審査員特別賞 佐藤卓賞《MIZUHIKI PEN 大垣 友紀惠 / 松尾 拓弥》
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審査員特別賞 小山薫堂賞《ねこ寿司 小山貴之 / 山本絵理香 / 市川直人》
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帰り道、麻布十番でスモークサーモンのワッフルサンド。
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