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国宝 東寺―空海と仏像曼荼羅@東京国立博物館 平成館

本館で両陛下と文化交流展の後期展示を観た後、平成館に移動します。

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国宝 東寺―空海と仏像曼荼羅展を観ました。
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結構な賑わいです。仏像って自分が思っている以上に人を集めるんだなあと。

www.tnm.jp

東寺は一昨年の秋に行ったので、お久しぶりな気分。

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まさか、こんなに早く東京で観られるとはね。 

 

以下、気になったものについてメモを残します(◉は国宝、◎は重要文化財、◯は重要美術品)。

空海と後七日御修法

会場では、真言宗の最高儀式である後七日御修法(ごしちにちみちほ)の堂内を可能なレベルで再現して展示。

後七日御修法とは、元日から7日までの前七日の神事に続く後七日の修法の意で、天皇の身体安穏と国家の安泰と繁栄を祈る。承和1(834)年、空海宮中行事として始め、明治維新後一時途切れたが、1883年からは東寺で再興した。

《6 ◉ 風信帖 空海筆 1巻 平安時代・9世紀 東寺》
空海から最澄に宛てた書状。王羲之顔真卿の書風を会得した空海が自在に筆を操っている。日本の書道に大きな影響を与えた空海壮年期の代表する筆跡として書道史上古くから珍重されてきた。

《11 ◉ 金銅密教法具 金剛盤 1口 中国 唐時代・9世紀 東寺》
《12 ◉ 金銅密教法具 五鈷鈴 1口 中国 唐時代・9世紀 東寺》
《13 ◉ 金銅密教法具 五鈷杵 1口 中国 唐時代・9世紀 東寺》
金剛盤の上に五鈷鈴と五鈷杵を据えた密教法具のセットで展示されていた。この法具は、空海が帰国するに際して、師の恵果が授けた法具類の一部と考えられるもの。

真言密教の至宝

《26 ◎ 両界曼荼羅図(甲本) 2幅 平安時代・建久2年(1191) 東寺》
国内最大級の曼荼羅で縦横5メートルほど。傷みが激しく特に下の方は剥落が激しい。空海が唐から持ち帰った両界曼荼羅の第二転写本(写しの写し)と考えられている。

《39 ◎ 蘇悉地儀軌契印図 1巻 中国 唐時代・咸通5年(864) 東寺》
手印の作法を白描で記したもの。

《51 愛染明王香合仏 1合 鎌倉時代・13世紀 東寺》
携帯用仏様。

東寺の信仰と歴史

《69 ◉ 女神坐像 1体 平安時代・9世紀 東寺》
東寺八幡宮の草創の三神像のひとつ。空海が彫ったと伝えられている最古の神像。

《71 獅子・狛犬 2体 平安時代・9世紀》
獅子・狛犬の木像としては最も古いものと推定。今まで見た中で最も体腔が狼に近くて印象に残った。かっこいいし、いかにも持久力ありそうなお姿。

《84 ◉兜跋毘沙門天立像 1体 中国 唐時代・8世紀 東寺》
毘沙門天は、四天王の多聞天が単独で現れる時の別名。宝冠をかぶり、チェーンメイルを着け、右手に鉾、左手には塔、鬼二体を従えた地天女の上に立っている。元は平安京の羅城門に安置されていた。

曼荼羅の世界

《92 ◎ 両界曼荼羅図(敷曼荼羅) 2幅 平安時代・天永3年(1112) 東寺》
国内最大級の曼荼羅。展示は胎蔵界。全ての像が中心を向く形で放射状に描かれている。灌頂儀礼で投華得仏(とうげとくぶつ)の儀式が行われる際に、敷曼荼羅の上に華が投げられる。
ケースにいれての平置き展示で、周りを囲むようにして覗き込む形での鑑賞だった。近くで見ることができたし、大きさをより感じられた。

《95 ◎ 五大虚空蔵菩薩坐像 5体 中国 唐時代・9世紀 東寺》
虚空蔵菩薩の五つの智恵を5体の菩薩像で表したもので、法界、金剛、宝光、蓮華、業用が、それぞれ馬、獅子、象、迦楼羅、孔雀の上に鎮座する。空海の孫弟子恵運が唐から招来した。

 

最後の展示室は東寺講堂にある立体曼荼羅を再現したもので、立体曼荼羅を成す仏像21体のうち15体を展示している。

《108 ◉ 持国天立像 1体 平安時代・承和6年(839) 東寺》
四天王のうち東方天として東南に配される。餓鬼を含め一木から彫り出されている。動的な表現。憤怒の表情でわずかに前傾し、見るものに迫る。

《109 ◉ 増長天立像 1体 平安時代・承和6年(839) 東寺》
四天王のうち南方天として西南に配される。静的な表現。左足に踏みつけられている邪鬼がよいお顔していました。

《110 ◉ 帝釈天騎象像 1体 平安時代・承和6年(839) 東寺》
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帝釈天だけ撮影が許可されていましたので、遠慮なく。
それにしても、かっこいい。仏像界イチのイケメンとは聞いていましたが、本当にそうだ。

 

本展示は後七日御修法の道場を再現したり立体曼荼羅を持ってきたりと、インスタレーションが桁違いで、久々にさすがトーハクと唸らされる展示でした。トーハクのアミューズメントパーク化が極まってきましたね。

特に第一会場の展示には初っ端から呆気にとられました。もちろん巨大な両界曼荼羅図や《五大尊像》《十二天像》の多くはパネル展示なのですが、当時の知が結集した現場をイメージするには十分で、総毛立つ思いがしました。

しかし、こんなに東京に持ってきちゃって東寺は大丈夫なんでしょうか。講堂とかガラガラなんじゃないの?観智院なんてメインどころが…。

 

ちなみにこの時点で3万歩超え。体力を使い果たしたので、カフェラウンジで糖分補給することに。
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鶴屋吉信のつばらつばらと柏餅(こし)です。道明寺粉の柏餅でつぶつぶ感が新鮮でした。