常温常湿希望

温度20℃湿度50%が理想です。

「明治150年記念 華ひらく皇室文化 ―明治宮廷を彩る技と美―」展@泉屋博古館分館

久しぶりの泉屋博古館分館です。紫木蓮と桜がほころび始めていました。
f:id:Melonpankuma:20190323151833j:plain

明治の超絶技巧を楽しみに、「明治150年記念 華ひらく皇室文化 ―明治宮廷を彩る技と美―」展に行きました。
f:id:Melonpankuma:20190323151829j:plain

megalodon.jp

右上《金羽文小筥~小鳥たちのコロニー 平成9年(1997) 株式会社ミキモト装身具》
右下《梅花文宝石入小箱 平成9年(1997) 株式会社ミキモト装身具》
左《夕景~菖蒲華文・棗 平成9年(1997) 株式会社ミキモト装身具》
f:id:Melonpankuma:20190323151837j:plain
展示室前に撮影可のコーナーが設けられていました。ミキモト創業90周年記念の製作品だそうです。金銀ダイヤモンドがふんだんに使われた小箱です。私には中に入れるものを想像できません。

以下、気になったものについてメモを残します。

第1会場 鹿鳴館の時代と明治宮殿

《12 ワイングラス 松浦玉圃 明治23年(1890)以降 個人》
一対のワイングラスにそれぞれ秋草と鯉が色鮮やかに描かれている。ガラスにエナメルで絵付けをして焼き付ける技法で特許を取った。

《15 色絵草花文紅茶茶碗セット 7代錦光山宗兵衛 明治(19-20世紀) 個人》
京薩摩は、欧米への輸出用に、幕末から明治初期に掛けての京都で、伝統的な日本のデザインを意識して絵付けされた薩摩焼。本品は四季折々の植物が描かれたカップとソーサー。薩摩焼の赤みがかった地に細やかな絵付けが可愛らしい。

《鶴亀形ボンボニエール 明治27年(1894)3月9日 個人》
岩上の鶴亀を象った銀製菓子器。明治天皇・皇后の大婚25年記念式典の大饗宴に陪席した621人に配られたもの。これが、今日まで続く皇室の慶事の際に配られる引出物、ボンボニエールの始まりと言われている。
雅楽太鼓形  昭和大礼 大饗 第二日の儀 昭和3年(1928)11月17日 学習院大学史料館(高橋家寄託)》《釣灯籠形  昭和大礼 大饗 夜宴の儀 昭和3年(1928)11月17日 学習院大学史料館(高橋家寄託)》
昭和天皇御即位の際に配られたボンボニエール。どちらも、大礼祭の調度品を模して作られたもの。

第1会場 明治宮廷を彩る技と美

《22 百花百鳥の間 室内装飾透視図 菊池芳文 明治37年(1904) 川島織物文化館》
川島織物が1905(明治38)年リエージュ万国博覧会に出展した室内装飾「百花百鳥之間」は巨大な綴織で壁の4面を覆ったものでした。二代川島甚兵衛は、自身の構想を元に菊池芳文に本品を描かせた。

《29 若冲の間 室内装飾展開図 川島織物考案部 明治33年(1900)頃 川島織物文化館》
川島織物が1904(明治37)年セントルイス万国博覧会に出展した休憩室「若冲の間」の設計展開図。壁一面に若冲動植綵絵を下絵にした綴錦が組み込まれた網代戸が飾られた。

第2会場・ホール

《36 菊花形藤花図壷 初代宮川香山 明治39年(1906) 泉屋博古館分館》
薄緑の地に白と紫の藤花が描かれている。菊花形のフォルムによって華やかさが増している。

第3会場

《66 天鵞絨友禅嵐図壁掛 第5回内国勧業博覧会出品 12代西村總左衛門 明治36年(1903) 宮内庁三の丸尚蔵館
太い枝の上で、羽根を広げつつも強風に耐える鷹。下絵は木島櫻谷。一見、絹地に直接描かれたものに見えるが、実はビロード地に絵を友禅染めにした織物。

《70 猟犬図 2代川島甚兵衞 明治43年(1910)購入 泉屋博古館分館》
10頭の猟犬が駆ける姿が描かれたタペストリー。綴錦に似た、刺綴という刺繍で描かれている。元絵はアメリカ人、サッタンによる油彩画。

《81 ◎葆光彩磁珍果文花瓶 板谷波山 大正6年(1917) 泉屋博古館分館》
薄肉彫りで胴部の窓に、桃、枇杷、葡萄を盛った籠、その間に鳳凰・羊・魚が描かれている。マットな質感は、波山考案の葆光釉によるもの。近代陶磁器の分野で初めて重要文化財指定を受けた作品。

《83 月桜図七宝額 濤川惣助 明治(19世紀) 安藤七宝店》
四角の画面に描かれた月と秋の花々。無線七宝によるにじみを生かした花びらや葉の色彩が優美な印象を与えている。

《84 墨画月夜深林図七宝額 濤川惣助 明治32年(1899) 宮内庁
1900年パリ万国博覧会出品作。大画面に水墨画のような黒の濃淡で水辺の風景を七宝で描いたもの。こんなの作ったんじゃ長生きはできないだろうなと思った。

 

明治皇室が守り伝えようとした日本の技と美。明治の超絶技巧と呼ばれるやや狂人じみた作品の数々を堪能しました。どれもこれもため息しか出ません。国威を示すためとはいえ、当時、そこに贅の集積があればこそ、ここまでの技術に達したわけです。今の日本には宗教等で財を集積するシステムがないので、ここまでアーティストが精魂込めたり、世代を越えて研鑽することができなくなりました。生活は一見豊かなんだけど、文化的には衰退してしまうよね。

 

帰りに、メゾン・ランドゥメンヌでクロワッサンとカヌレ
f:id:Melonpankuma:20190323151841j:plain
癒やされました。

 

以下、余談。

スマホのflickで泉屋博古館を変換しようとすると、とても変な予測変換になってしまいました。こうなると、いずみやと打つしかないわけで。

f:id:Melonpankuma:20190323151854p:plain
Google日本語入力だとうまくいくんだけどなあ。ひとまず、単語登録します。