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京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ@東京国立博物館平成館

東京国立博物館平成館で開催中の「京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ」展に行ってきました。
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www.tnm.jp

京都市上京区に所在する大報恩寺は、鎌倉時代初期に開創された古刹です。釈迦如来坐像をご本尊とし、千本釈迦堂の通称で親しまれています。本展では、大報恩寺秘仏本尊で、快慶の弟子、行快作の釈迦如来坐像、快慶作の十大弟子立像、運慶の弟子で、行快とほぼ同じ世代である肥後定慶作の六観音菩薩像など、大報恩寺に伝わる鎌倉彫刻の名品の数々を展示いたします。

以下、気になったものについてメモを残します。

大報恩寺の歴史と寺宝―大報恩寺と北野経王堂

10《北野経王堂図扇面 1面 室町時代・16世紀》
北野経王堂は大報恩寺の近い北野天満宮にあった仏堂。六観音菩薩像は元はこちらに納められていたという。お堂に並んで座った僧侶たちが経典を読む姿が描かれている。揃って大きく口を開けた姿が微笑ましい。

聖地の創出 ―釈迦信仰の隆盛

1《◎ 釈迦如来坐像 行快作 1軀 鎌倉時代・13世紀 京都・大報恩寺
年に数回しか公開されない秘仏本尊。快慶の一番弟子行快の作。螺髪にはトラックポイントのような赤い肉髻珠。釣り上がった目尻に厳格な表情を感じる。

2《◎ 十大弟子立像 快慶作 10軀 鎌倉時代・13世紀 京都・大報恩寺
行快作の釈迦如来坐像を囲んで、舎利弗、目犍連、大迦葉、須菩提富楼那迦旃延阿那律優婆離、羅䉩羅、阿難陀の立像が露出展示されています。通常は保存環境やその他の理由で、本尊釈迦如来像以外の文化財はすべて収蔵庫に保管されているので、釈迦如来十大弟子立像が並んでいる状態に置かれたのは半世紀ぶりだという。
さすが快慶と思わされる写実性のある立像。大きさは1メートルほどで実物大というほどではないが、夜中に動き出しても不思議ではないほどの存在感がありました。私的には仏涅槃絵で馴染み深い十大弟子ですが、絵でもよく美しく描かれる阿難陀尊者はやはり若く端正な顔立ちですが、阿那律尊者もかなり若々しいお顔。失明しているとこから、空をみているような表情が印象に残りました。

4《天王および羅刹立像 6軀 鎌倉時代・13世紀 京都・大報恩寺
天王と羅刹5軀が揃って展示されています。《十大弟子立像》のある部屋の隅にあるのですが、こちらも異様な雰囲気がありました。羅刹が怪物じみた造形なのが面白い。手など欠損が激しいのが残念でした。

六観音菩薩像と肥後定慶

6《◎ 六観音菩薩 肥後定慶作 6軀 鎌倉時代・貞応3年(1224) 京都・大報恩寺

 

聖観音千手観音菩薩馬頭観音菩薩、十一面観音菩薩准胝観音菩薩の立像と如意輪観音菩薩坐像が一室に並んで露出展示されています。赤い壁に映る影まで美しい。

出口近く、最後の6-1《聖観音菩薩立像》だけ撮影可でした。
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横からも。光背と像は接しておらず、蓮華の台座から立ててあるのがわかります。
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10月30日からは光背を外した形で展示されるそうで、背中を観るチャンスです。

特設ショップではオリジナルグッズの販売がありました。
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魅惑のグッズ盛りだくさんで煩悩が刺激されます。諸々お買い物しましたが、聖☆おにいさんコラボのTシャツだけは、一体どこで着る気だと自問し既の所で踏みとどまりました。

 

トーハクの特別展は物量で攻めてくる印象がありますが、今回はそんなことはなく、スペースも控えめに平成館二階の半分を使っての展示でした。個人的にはこれくらいのボリュームが集中力を保ててちょうど良い。いつも情報量に圧倒されて精根尽き果てて会場を後にしますからね。でも、入場料はいつもの特別展と変わらず一般1400円だったので割高に感じました。残りの半分の展示室では「マルセル・デュシャンと日本美術」展が開催中。2展セット料金が2000円だったので、トーハク的には両方観てね☆という試みだったのかもしれませんが、関連性がないのを続けて観ると双方の印象が散漫になりそうだったので止めました。