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日本美術の流れ@東京国立博物館 本館

少し前の訪問で既に展示を終えてしまったものもありますが、記録として残します(◉は国宝、◎は重要文化財、◯は重要美術品)。

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本館 3室 仏教の美術―平安~室町

《◎玄奘三蔵像 1幅 鎌倉時代・14世紀
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唐時代の僧侶、玄奘三蔵(?~664)は、インドに渡り膨大な経典類を中国にもたらした。大きな笈に多数の経巻をつめて背負い、髑髏の首飾りをつけて、経文を唱えながら歩む姿が、大般若会の本尊・釈迦三尊十六善神像にも描かれるが、単独像は珍しい。

笈や衣装の細やかな装飾が興味を引くが、それ以上に首にかけた九つの骸骨が気になる。どうやら玄奘三蔵の前世だとか、深沙大王に纏わる説などいろいろあるらしい。

本館 3室 宮廷の美術―平安~室町

《◎後三年合戦絵巻 巻中 1巻 飛騨守惟久筆 南北朝時代・貞和3年 (1347)
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本作は貞和3年(1347)の基準作で、後三年合戦に取材した現存最古の絵巻。現在3巻が残るが、当初は全6巻で完結していたと考えられており、合戦前半の場面は失われている。

展示場面は、奥州に赴任した源義家が金沢柵(秋田県横手市)に籠城した清原家衡・武衡らを兵糧攻めする場面。 

本館 7室 屏風と襖絵―安土桃山~江戸

《◎車争図屏風 4曲1隻 狩野山楽筆 江戸時代・慶長9年(1604)
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豊臣秀吉の側室淀殿が、嫁ぐ養女の完子と新郎のために新築した九条御殿の襖絵で引手跡がみえる。『源氏物語』の葵の上と六条御息所の行列見物の場所争い。乱闘場面を表わす円環状の構図が見事だ。この仕事で山楽は九条家から信頼され、庇護を受けることとなる。

ColBase:車争図屏風
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トーハク常設展では3年ぶりの展示です。何度見てもこの乱闘ぶりにニヤニヤさせられます。

帝鑑図屏風 6曲1双 狩野山楽筆 江戸時代・17世紀
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為政者が手本あるいは反面教師とすべき中国の諸帝王の故事集。右隻は善行6図、左隻は愚行6図。伝統的な中国絵画の「界画」の手法により、定規を用いた線描で楼閣の構造を明解に描き、人物を線描主体で活写している。山楽研究の出発点となった重要作品だ。

右隻に善行の任賢図治、拒関賜布、夢賚良弼、入関約法、掲器求言、不用利口を、左隻に悪行の脯林酒池、戯挙烽火、坑儒焚書、市里微行、妲己害政、西邸鬻爵が描かれている。

本館 10室 浮世絵と衣装―江戸(浮世絵)

吉原の躰 1枚 菱川師宣筆 江戸時代・17世紀
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新吉原を描いた12枚の揃物で本品は張見世(格子見世)の場面。

見立伊勢物語(八つ橋) 1枚 鈴木春信筆 江戸時代・18世紀
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伊勢物語』の八ツ橋の場面を旅姿の若い男女で見立てたもの。背景に杜若が咲く橋が描かれている。

《刺身を造る母娘 1枚 喜多川歌麿筆 江戸時代・18世紀》
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江戸っ子は、鰹を好んだ。特に歌麿が活躍した頃には、人々は競って青葉が美しくなる時期の初鰹を求め、刺し身にからしや大根をおろしを合わせて味わった。この図の大皿に守られている刺し身は鰹だろう。魚の背の皮は、雲母が用いられて光っている。

 

《千繪の海・五島鯨突 1枚 葛飾北斎筆 江戸時代・19世紀》
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海や川での漁を描いた揃物で、本品は五島列島捕鯨を描いたもの。ずらりと取り囲んだ船が、鯨の巨体を引き立てている。

百人一首之内文屋康秀 1枚 歌川国芳筆 江戸時代・19世紀 》
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百人一首を描いた揃物で、本品は古今和歌集文屋康秀が詠んだ「吹くからに 秋の草木の しをるれば むべ山風を あらしと言ふらむ」を題材にして、大風に慌てる傘屋の様子をコミカルに描いている。

《東都名所・佃嶋 1枚 歌川国芳筆 江戸時代・19世紀》
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隅田川に架かる永代橋の橋脚をでくぐり佃島を望む風景。川船の周りに降り注ぐのは、橋の上から撒かれた川施餓鬼の札と思われる。川面には桶や西瓜の皮が浮いている。

遊女と燕図 1幅 勝川春章筆 江戸時代・18世紀
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吉原仲の町の茶屋の前で、毎年同じ場所を訪れる燕を見上げる遊女を描いている。春章の肉筆画は、在世当時「春章一幅値千金」と言われるほど高く評価された。良質な絵具で細緻に描かれたこの図は、肉筆浮世絵の優品を集めた平戸藩主松浦家に伝来した。

大師川原詣で 3枚 歌川豊国筆 江戸時代・18世紀
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川崎大師の参道の土産物屋の前の風景を描いたもので、土産物を手に華やかな着物を着た男女が行き交う様子を描いている。当時、お引きずりで着付け、外出時には、しごき紐で裾を上げているのがよくわかります。

 

本館を一回りした後、平成館に移動してラウンジの売店で一休みしました。
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