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国宝 雪松図と花鳥 ―美術館でバードウォッチング―@三井記念美術館

正月の目出度い気分をまだまだ味わいたくて、三井記念美術館へ。f:id:Melonpankuma:20180107225314j:plain

只今、国宝 雪松図と花鳥 ―美術館でバードウォッチング―(キャッシュ)を開催しています。
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正月の恒例となっています国宝 雪松図屏風の展示に合わせ、今回は館蔵品のなかから花鳥をテーマに作品をセレクトいたしました。なかでも、鳥が描かれた絵画や、鳥をかたどったり、鳥にあやかった名称の工芸品などに焦点を合わせております。花鳥画の鑑賞とともに、美術館でバードウォッチングも楽しめます。

以下、気になったものをメモとして残します(◉は国宝、◎は重要文化財)。

展示室 1

1-9《凡鳥棗 藤村庸軒好 初代 中村宗哲 1合 漆工 江戸時代 貞享4年(1687)》
蓋に桐文、盆付に「凡鳥」と朱漆書がある棗。鳳凰は梧桐に宿るという言い伝えから、鳳の字を二つに分解して「凡鳥」と記した。

1-11《◎赤楽茶碗 銘鵺 樂道入 1口 陶磁器 江戸時代
オレンジ色の地で、胴の一部の刷毛で塗りつけた黒い斑がある。「鵺」の銘はこの景色を『平家物語』の源頼政鵺退治で知られる鵺の怪雲に見立てたもの。

展示室 2

2-1《◎玳皮盞 鸞天目 1口 陶磁器 南宋時代
べっ甲のような模様。茶碗の見込に施された尾の長い鳥の文様は、想像上の瑞鳥である鸞(らん)とされている。

展示室 3

かつて北三井家が所蔵した国宝の茶室「如庵」を再現した展示ケース。如庵は、織田有楽斎が晩年に隠棲した京都建仁寺に建てた茶室。窓が多めで明るく、点前に座側には竹を打ちにし光量を絞り込んだ有楽窓、腰壁には古暦を張って暦貼りにし、点前畳前には火燈形くり抜き杉板など、各所に工夫が施された合理的な造りである。

3-2《◉志野茶碗 銘卯花墻 1口 陶磁器 桃山時代
形には歪みがあり、ベージュ色の釉で、胴には縦横に茶色の筋が入っている。

展示室 4

4-1《蓮燕図 伝牧谿 1幅 紙本墨画 南宋時代》
軽妙な筆使いで蓮の花托に止まる燕を描いたもの。東山御物

4-2《四季山水図 狩野栄信(伊川院) 4幅 絹本着色 江戸時代》
四季折々の風景を描いた四幅の掛け軸。 春は水辺に馬。梅や牡丹の咲く岸辺で母犬が乳を与えている。夏は滝と獲物を追う鷹。松に雛のいる巣がある。滝見の人影。秋は湖の雁。牛飼いや長毛の犬の姿がある。冬は切り立った山に葉を落とした木々。水辺に五羽の水鳥が飛ぶ。

4-3-①《松樹双鶴図(花鳥動物図の内) 沈南蘋 11幅の内1幅 絹本着色 清時代・乾隆15年(1750)》
岸壁に二羽、波濤の中の岩に一羽の鶴が立つ。鶴が松と共に描かれて、蓬莱山を連想させる。丹頂鶴の首の黒い羽毛がやたら逆だって描かれていた。

4-3-②《柳下雄鶏図(花鳥動物図の内) 沈南蘋 11幅の内1幅 絹本着色 清時代・乾隆15年(1750)》

柳と花海棠に燕、雄鶏と共に描かれているオレンジの花はナデシコの一種で仙翁。

4-3-③《群鳥倚竹図(花鳥動物図の内) 沈南蘋 11幅の内1幅 絹本着色 清時代・乾隆15年(1750)》
竹と野薔薇に小禽が舞い、地面には花大根とも呼ばれる諸葛菜と蒲公英が描かれている。緑の発色が美しい。 

4-3-④《枇杷寿帯図(花鳥動物図の内) 沈南蘋 11幅の内1幅 絹本着色 清時代・乾隆15年(1750)》
枇杷の実を狙う雌雄の綬帯鳥。地面には芥子の花が咲く。綬帯鳥は、尾長鳥とも言い、その美しさから古くから瑞鳥とされている。枇杷の木の表現が面白い。

4-3-⑤《白鸚鵡図(花鳥動物図の内) 沈南蘋 11幅の内1幅 絹本着色 清時代・乾隆15年(1750)》
白鸚鵡が赤いライチの実をついばんでいる。木の根元にはエビネ蘭が咲いている。

4-3-⑥《檀特鶏雛図(花鳥動物図の内) 沈南蘋 11幅の内1幅 絹本着色 清時代・乾隆15年(1750)》
檀特はカンナ科の植物。その奥に秋海棠が咲いている。手前に雛が五羽。一羽が蟷螂を突いている。

4-5《◉雪松図屏風 円山応挙 6曲1双 紙本墨画金彩 江戸時代
お正月恒例、応挙の雪松図。付け立て幹の立体感を表現し、松葉は墨の濃淡を使い、描き残した和紙の白さで雪を表現している。背景に刷かれた金泥が静謐で神々しい雰囲気をもたらす。屏風の折り目でさらに立体感が増すよう、計算されつくした構図がすごい。

4-6《鳥類真写図巻 渡辺始興 1巻 紙本着色 江戸時代》
絵を描く時の資料として作られたもので、46枚の紙を継いだ全長17m余りの長さの巻子本。小禽から大型の猛禽類まで63種の鳥の形態を詳細に記している。イスカの嘴のの食違いや、コウモリが描かれているなど見所が多い。

展示室 5

5-1《百鳥図横額(片隻)国井応文 1面 紙本着色 江戸時代》
横長の襖仕立ての額1面ですが、本来は2面で百鳥図とされたもの。中央の尾が目立つのは山鵲。翡翠を先頭に、イスカ、千鳥など、様々な鳥が群れになって飛ぶ様子が描かれている。

5-7《銀製長尾鶏置物 1組 金工・漆工 明治時代》
精巧に作られた銀細工の尾長鳥が、牡丹の蒔絵で装飾された止まり木に止まっている。

5-13《雲鶴透彫印籠 1合 金工 江戸~明治時代》
印籠の表は雲や鶴が透かし彫りで描かれている。鏡に映った裏面は、魚々子が細かく打たれ、雲と鶴が毛彫りされている。

5-18《宝相華文蒔絵二重手箱 象彦(西村彦兵衛)製 1合 漆工 明治~昭和時代》
複合唐草文が組み合わされ、その間に飛鳥や蝶が描かれている。非常に豪華に装飾されていながら、石目塗りで落ち着いた質感をもたらしている。

展示室 6

6-1《鶉図 土佐光起 1幅 絹本着色 江戸時代》
丸い画面に猿捕茨と鶉を描いたもの。

6-2《東都手遊図 源琦 1幅 紙本着色 江戸時代・天明6年(1786)》

北三井家の三井高裕が弟の誕生を祝って買い求めた玩具を描いたもの。紅葉を背景に、木菟、犬、鳥、鼓などの玩具が描かれている。

6-4《木兎図 小林古径 1幅 絹本墨画 淡彩昭和時代》
冬枯れの枝に止まる木菟。金色の目が光る。

展示室 7

7-1《芦鷺図 狩野探幽 1幅 紙本墨画 江戸時代》
白鷺の群れ。雪や水際の芦を外隈で描いている。

7-4《蓬莱山・竹鶏図 円山応挙 3幅 絹本着色 江戸時代・寛政2年(1790)》
中幅に松と鶴を描き蓬莱山とし、右幅には高く真っ直ぐの竹と尾羽根の美しい雄鶏、左幅には若竹と雌鶏を描いている。

7-5《双鶴図 円山応挙 1幅 絹本着色 江戸時代・寛政4年(1792)》
右の鶴は右を、その後ろにいる左の鶴は正面を向いて描かれている。脚が三本しか描かれていないのは、左の鶴が脚を折りたたんでいるのだろう。三井源右衛門宛に金子500匹(1両1分)の請求があったとされる。1両を10万円で換算すると12万5千円となる。

7-7《海辺群鶴図屏風 三井高福 6曲1双 絹本着色 明治18年(1885)》
右隻は波打ち際に立つ五羽の丹頂鶴。左隻には岩場に立つ四羽の真鶴。少し離れて、波中の岩場に丹頂鶴がいる。荒れる波を明るい水色で、空には金砂をふんだん刷き、春の輝くような陽射しを描いている。

7-8《群鶏図屏風 呉春ほか15名合筆 2曲1隻 紙本墨画淡彩 江戸時代・享和元年(1801)》
左に竹籠、その前に一三匹の鶏と二羽の雛が描かれている。呉春、松本景文、山口素堂、奥文鳴、応栄などの共作。中央の着彩された雄鶏を北三井家六代目の三井高裕が描いたのではと推量されている。

7-10《梅花金鶏鳥図 三井高福 1幅 絹本着色 明治15年(1882)》
老木の白梅と若木の紅梅。鮮やかなオレンジ色の金鶏の他に、丹頂鶴や真鶴が描かれている。鶴の嘴に鼻孔と思われる隙間が描かれていた。

7-11《京都博覧会諸鳥出品目録 三井高朗編 1枚 紙本色刷 明治11年(1878)》
北三井家九代の三井高朗は、鳥の飼育を趣味とし、京都の博覧会に150羽を出品した。没後に残された約400羽の鳥は、西本願寺大谷家に引き取られたという。

7-14《花鳥図 (新寄贈)渡辺始興 1幅 紙本着色 江戸時代》
どんぐりの生る木に止まる一羽のカケスは、《鳥類真写図巻》でカンドリ と記されている絵と同じポーズで描かれている。図巻が作品の資料として使われた実例である。

7-16《花見の図 (新寄贈)河鍋暁斎 1幅 絹本着色 明治時代》
満開の桜の下で酔って踊る男女。男は背に酒樽を担ぎ、天狗のお面で、手には扇を持っている。踊りの勢いで草履が脱げている。女は団子を食べながら踊り、胸元が乱れているのも気にとめていない。その前には、玩具売りの老婆が座っている。

 

入場してすぐの展示前室に剪綵(せんさい)という手法で作られた衝立が展示してありました。今回の出品リストには記載がありません。剪綵とは、下絵の輪郭線を写して切り取り、それに金泥を塗って磨き、切り抜いた部分には布を貼るなどして装飾する、奈良時代に伝来したされる手工芸です。

《牡丹孔雀図剪綵衝立 三井高福》
牡丹の咲く岩の上に立つ孔雀が描かれている。

《牡丹鶏図剪綵衝立 絵:三井高福、作:三井鋹子》

牡丹と菫と鶏の番が描かれている。

《籠鶏図 三井恭子》
籠の中に鶏の番が描かれている。籠は輪郭線だけで透かして作られている。

 

 一周するのに二時間強。展示室内はそれほど混雑していません。長尺の《鳥類真写図巻》は、各々進むペースが違うのでやや混雑ぎみでしたが。それにしても、どの作品も保存状態のよいこと。絵具の良さはもちろんでしょうが、それにしても発色がよく、200年以上も前のものとは思えないほどでした。

 

お腹が空いたので、コレド室町へ。日本橋駅を通ったら大理石がたくさんあったので化石探し。これは小さかったけれど、アンモナイトかな。
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こちらはかなり大きなベレムナイト。
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この他に、フズリナらしきものも見つけました。

コレド室町2のむぎとオリーブで蛤SOBA。
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お蕎麦とラーメンの中間的な何か。鶏チャーシューがおいしい。エシャロットオイルを入れてみたら、より食べやすくなりました。