常温常湿希望

温度20℃湿度50%が理想です。

日本美術の流れ@東京国立博物館 本館

何を勘違いしたか、今週末から年末いっぱい本館2階が閉まると勘違いして、いそいそとトーハクに出かけました。実際は来週まで開いています(もう一回行けそう。むふふ)。

f:id:Melonpankuma:20161208215755j:plain

青い空がまぶしいほどです。

本館の特別展の賑わいを横目に、2階に上がります。

本館 8室 暮らしの調度―安土桃山・江戸

《群鶴蒔絵硯箱 1合 江戸時代・18世紀》

f:id:Melonpankuma:20161208220135j:plain

細かい金粉を蒔き詰めて金地に仕立てた硯箱。蓋表から身の側面にかけて流水を描き、鶴が飛翔する姿を鉛板を嵌めて表わす。モチーフを画面いっぱいに大きく描いた構図や、厚い鉛板を切り口も整えずに大胆に用いる点など、尾形光琳の蒔絵の作風に倣っている。(展示説明)

《色絵三壺図皿 5枚 鍋島 江戸時代・17世紀》

f:id:Melonpankuma:20161208213149j:plain

鍋島の完璧な技術は他と隔絶するものがある。五客が同じものという当たり前のこと、これを日本陶磁で初めて鍋島が達成したと言っても過言ではない。瑠璃地を背景とし、そこにそれぞれに異なった表現で飾られる三つの壷が並んで描かれている(展示説明)

《銹絵雪笹文大鉢 1口 仁阿弥道八作 江戸時代・19世紀》

f:id:Melonpankuma:20161208213150j:plain

仁阿弥道八は奥田穎川(えいせん)に陶技を学んだが、作風には仁清、乾山の影響が強い。これは乾山焼の雪笹手鉢を参考に大きな鉢に仕立て直したものとされている。雪の中、笹の葉に積もった雪が美しい。

 

《黒楽鶴亀文茶碗「道八」刻銘 1口 仁阿弥道八作 江戸時代・19世紀》

f:id:Melonpankuma:20161208213152j:plain

黒地に白で鶴の姿を描くのは乾山風らしい。真っ黒のごつごつした厚みのある茶碗。鶴の表情が面白いです。

f:id:Melonpankuma:20161208213151j:plain

内側見込の立ち上がりに白い亀。鶴と合わせて長寿を願う吉祥文様となる。

本館 9室 能と歌舞伎 歌舞伎衣装

《鏡蓋 金地松鷹波模様 1枚 坂東三津江所用 江戸時代・19世紀》

f:id:Melonpankuma:20161208213148j:plain

様々な布きれで形をとり、中に厚紙や綿を入れて台紙に貼り付けた押絵。いわは和風キルトアート。歌舞伎役者が鏡の埃よけに蓋として用いた。荒々しい波に洗われる松と、金色の空を飛ぶ鷹が描かれている。中央にある取手は松葉に茗荷の形をした金物細工。茗荷は持ち主の坂東三津江の紋所にちなんでいる。

 

守田勘彌・鍬もち男 1枚 勝川春好筆 江戸時代・18世紀》

f:id:Melonpankuma:20161208213154j:plain

素網を着、その上から屋号である「喜」の字文の小袖を羽織り、縄模様の小袖を両肩脱ぎにして腰巻にした守田勘弥。腰巻の小袖には守田座の座紋カタバミ(丸に中が瓜実の片喰)がついている。かなりトリッキーな格好をしているが、どんな演目なのか不明。

 

《浮絵芝居小屋之図 1枚 歌川豊春筆 江戸時代・18~19世紀》

f:id:Melonpankuma:20161208213153j:plain

浮絵といい、西洋画から取入れた遠近透視図法を用い、実景が立体的に浮き出して見えるように描かれた絵。奥村政信が創めたといわれている。応挙が覗きからくりで描いていたのも浮絵。

天井中央には役者の家紋をつけた長提灯、両脇には桟敷とその下の枡席に丸提灯が下がっている。下手の暖簾に中村屋の座紋(隅切角に鶴の丸)がある。客席は満席で飲み食いして芝居を楽しんでいる。歩(あゆみ)には茶や食物の売り子がいる。

本館 10室 浮世絵と衣装―江戸(浮世絵)

《見立忠臣蔵七段目 1枚 鳥文斎栄之筆 江戸時代・18世紀》

f:id:Melonpankuma:20161208213156j:plain

先日のトーハクの宿題を解決するために、この三美人を改めて確認しました。

f:id:Melonpankuma:20161208213159j:plain

二階で柏紋入り団扇を持つのは、高島おひさ。 江戸浅草随神門脇の水茶屋(巻せんべい屋)の評判娘、おひさの家紋は丸に三つ柏。

f:id:Melonpankuma:20161208213158j:plain

文を読むのは、前掛けに桐紋があるので難波屋おきた。浅草隋身門前の水茶屋の娘おきたの家紋は五七桐紋。

 

そして、謎の床下にひそむもう一人の娘。寛政の三美人ならば富本豊雛が真っ先に出てくるのでしょうが、前掛けをしているから茶屋の娘です。富本豊雛は吉原の玉村屋抱えの高名な芸者で富本節の師匠ですから、当てはまりません。それに富本豊雛なら家紋は五つ立ち桜ですが、帯も前かけの模様も桜ではありません。

f:id:Melonpankuma:20161208213157j:plain

f:id:Melonpankuma:20161208213155j:plain

当時の茶屋娘を調べると、鳥文斎栄之の《茶屋娘見立雁金五人男》がありました。《茶屋娘見立雁金五人男》では茶屋娘5人の上に家紋が描かれていてわかりやすく、右から、菊本おはん、立花屋おたつ、難波屋おきた、高島おひさ、中村屋おもよです。一番右の暖簾の家紋と床下の娘の前掛けの柄が同じであることに気づきました。つまり、床下の娘は菊本おはんです。わかってみれば、帯の模様も菊に見えます。菊本おはんは江戸芝神明前の水茶屋の娘です。家紋はおそらく丸に木瓜紋でしょう。

謎が溶けて、すっきり。

 

といいつつ、この絵を調べている途中で気になる本を見つけて「見たて」と「やつし」の違いがわからなくなりました。改めて取り寄せて読むつもりです。行けば行くほど謎だらけになるトーハク沼。おそろしや。

 

帰りに、冬の不忍池をぶらぶら。枯れた蓮に覆われてくすんで見えますが、水鳥の群れが来ているので、実は賑やかなのでした。

f:id:Melonpankuma:20161208213147j:plain

昼ご飯抜きでふらふら歩き回っていたせいで、気がついたらお腹がぺこぺこ。上野西郷会館の地下にある銀座ライオンに入ってナポリタンです。

f:id:Melonpankuma:20161208213146j:plain

疲れていたので、甘いトマトソースがおいしかった。

関連ランキング:ビアホール・ビアレストラン | 京成上野駅上野駅上野御徒町駅