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若冲と蕪村@岡田美術館

箱根にある岡田美術館に行きました。紅葉シーズンのど真ん中の週末でしたが、その日は一日中雨だったため、都心から渋滞なしで二時間弱で到着。開館すぐに入場。

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12月18日まで特別展は「―生誕300年を祝う―若冲と蕪村 江戸時代の画家たち」展が開催されています。

伊藤若冲の「孔雀鳳凰図」は、本年1月14日の日本経済新聞において83年ぶりの再発見が話題となった作品です。本展では、この蘇った幻の名作を中心に、岡田美術館に収蔵される伊藤若冲の作品全件を一堂に展示します。今年、若冲とともに生誕300年を迎える与謝蕪村や、円山応挙・長沢蘆雪・曾我蕭白池大雅若冲と同時代に活躍した画家たちの作品と併せた約40件をお楽しみください。

今年は若冲生誕300年の区切りの年ということで、GWを挟んで東京都美術館で最大5時間半待ちという猛烈な行列を作るほどの若冲ブームが起きています。当然、その流れで私も踊らされているひとりで、どこかの展覧会で若冲が出ると聞けば、例え一点であろうとも駆けつけているというわけです。ブームが過ぎたら、こう頻繁に見れる保障はありませんからね。

 

入場料を払ったら電子機器類全てをロッカーに預けます。残った手荷物も入場者も厳重な金属検査を受けて入場。ここまでするかと思いましたが、おかげで変な行動をする人がいないからか会場には監視も少なく、リラックスできる環境になっていました。

 

若冲と蕪村」展の気になったものを以下に示します(◯は重要美術品)。

1《○孔雀鳳凰図 伊藤若冲 江戸時代 宝暦5年(1755)頃》

鳳凰と白孔雀の一対。83年ぶりの再発見が話題になりました。鳳凰は松の枝に止まって羽を広げて尾羽を立ち上げて朝日を見上げ、白孔雀は牡丹に囲まれて羽を畳んでいる。

これを見に来たようなものです。都美の若冲展で二度見ていますが、あの時はあわただしくて。単眼鏡でじっくりと堪能しました。白孔雀の羽がグレースケリーのウエディングドレスのようにに見えました。白孔雀の尾羽に色があるのは創作だろう。

 

2《笠に鶏図 伊藤若冲 江戸時代中期 18世紀後半》

笠の上に、頭を下げて尾を高く上げて片足立ちする鶏の画。

構図がピタっとすばらしく決まっています。極彩色の孔雀鳳凰図を見た後だったので、特に筆の走りが気持ち良くて心に響きました。

 

4《梅花小禽図 伊藤若冲 江戸時代中期 18世紀後半》

梅の木に止まる三羽の小鳥。梅の白い花びらは濃さを変えて遠近を表し、梅の枝は外隈で強調されて空間を切り取る。

 

5《雪中雄鶏図 伊藤若冲 江戸時代中期 18世紀後半》

 解説を読むと、爪にかかる雪を見ろと。確かに4×12の単眼鏡で見ると、爪にうっすらと白い粉雪がかかっているのがわかります。あぁ、勘弁してよ。そんな細かさで見なきゃいけないのかと、ため息が出ました。今度若冲を見るときには8×20の単眼鏡を用意します。

 

6《三十六歌仙図屏風 伊藤若冲 江戸時代中期 寛政8年(1796)》

三十六歌仙が、琴に乗ったり、琵琶に隠れたり、三味線を担いだり、おはぎを作ったり、田楽を焼いたり、シャボン玉を作ったり、煙草の煙で輪を作ったり、咥えた筆で書をしたり。食材らしきものを担いでいたりと自由に振舞っている。そもそも、当時三十六歌仙を三十六の料理に例えることもあったそう。尾形光琳が描いた洒落た歌仙図を参考にしたと思われる。

顔がパターン化している。

 

7《月に叭々鳥図 伊藤若冲 江戸時代中期 18世紀後半》

月を背に墜落するハッカチョウが描かれている。ハッカチョウはムクドリ科の真っ黒な渡り鳥。羽を広げると白い羽が見える。吉祥鳥として古くから水墨花鳥画に登場する。

私のお気に入りです。 叭々鳥の大きく見開いた目に何かを感じずにはいられません。若冲で落ちる鳥といえば芦雁図(ろがんず)もあります。こちらは凍った湖に真っ逆さま。

 

12《雪松群禽図屏風 尾形光琳 江戸時代 18世紀初頭》

金箔に青い水面。鴨や雁など13羽の水鳥が飛翔したり、雪の積もる松の根元に休んだりしている。金の背景に青と緑が鮮やかなコントラストを作る。

 

14《○三美人図 円山応挙・源琦 江戸時代 天明3年(1783)》

中央に美しい帯をした花魁、両脇は町娘。頭身、着こなし、仕草、立ち振る舞いが自然で美しい。華やかさには欠けるが。上唇のくぼみ人中をはっきりと描く。

 

15《子犬図 円山応挙 江戸時代 安永5年(1776)》

雪の上で遊ぶころころとした子犬の画。足跡。

なんと、あざとい!応挙の子犬は根津美術館の応挙展の後期で一点展示があるのを楽しみにしてたのに、こんなところで大放出されちゃった。釘付けになりましたとも。

 

16《群犬図 円山応挙 江戸時代 安永2年(1773)》

つがいの犬の周りに、ぶち、白、黒と様々な模様の子犬が13匹。右の黒毛の犬は後ろを向いている。耳が立っているのもいる。

いくらなんでもこの犬種から13匹は多すぎるだろう。しかし、子犬の成長度合いはどれも同じくらいだし、毛色もバリエーションの範囲内だったり。犬が画の主題になると、無駄にいろんなことを考えてみてしまうから、余計に画の前で過ごす時間が増えて困る。

 

18《子犬に綿図 円山応挙 江戸時代中期 18世紀後半》

綿の実のやわらかさと子犬のやわらかさが響きあう。綿の花と実が同時に生っている。葉も青々としたのと枯れかけた色のもの。

赤毛の子犬は一見笑い顔にも見えなくはないが、この上目遣いと耳の角度は怯えの表情。手前の白犬の表情も実際なら耳はぐっと後ろに引かれていたはず。応挙さん、今回は臆病な子犬を選びましたね。

 

19《波に雁図 円山応挙 江戸時代 天明5年(1785)》

 大胆な月、雁の表情に目がいく

 

26《飲中八仙図 与謝蕪村 江戸時代 安永6年(1777)》

中唐初期、杜甫(とほ)が八仙にちなんで同時代の名だたる酒客8人を七言古詩「飲中八仙歌」に詠ったのを主題にしたもの。

左上から、宗之が杯を挙げ、李白は市街で眠るのを両脇から抱えられ、焦遂は高談して雄弁を振るい、張旭は草書を披露し、李適之は酒の器を並べ、蘇晉は仏画掲げ、汝陽は麹を積んだ車を見て涎を垂らし、賀知章は馬に乗って揺れている。

 

27《沈香看花・楓林停車図屏風 池大雅 江戸時代中期 18世紀後半》

 左隻は杜牧の山行

遠上寒山石径斜 花遠く寒山に上れば石径斜めなり
白雲生処有人家 白雲生ずる処人家有り 
停車坐愛楓林晩 車を停めて坐に愛す楓林の晩
霜葉紅於二月花 霜葉は二月の花より紅なり

右隻は李白の清平調詞

雲想衣裳花想容 雲に衣装を想い花に容を想う
春風拂檻露華濃 春風檻を払って露華濃やかなり
若非羣玉山頭見 もし群玉山頭に見るあらずんば
會向瑤臺月下逢 会ず瑶台月下に向かいて逢はん

一双の詩意図屏風。杜牧と李白のそれぞれの二詩を主題にしてた青緑山水画

 

29《溪屋訪友図 与謝蕪村 江戸時代中期 18世紀後半》

山の麓にある庵に住む老人が橋の上から隣家の友人に声をかけて、自宅に招く様子が描かれている。遠景と近景が見事に書き分けられ、川を渡る人だけが略式化され描き分けられ、「訪友」と「渡水」という二つの主題で成り立っていることがわかる。詩書画一致。

 

31《彩竹図 柳沢淇園 江戸時代中期 18世紀》

濃紺の紙に白緑で竹が描かれている。書の金と印の朱を加えて四色で構成されているユニークな作品。

柳沢淇園(柳里恭)は幼少の頃より藩邸においてエリート教育を受け、博学にして多芸多才であり武芸百般に通じ天才的だったという。池大雅の才能を早くから見出した。

 

33《山水図 木米 江戸時代 文政7年(1824)》

もののけ姫にでも出てきそうなざわざわ動き出しそうな山肌。

 

34《群犬図屏風 長沢蘆雪 江戸時代中期 18世紀後半》

なだらかな坂に白黒のむく毛の雌犬と5匹の子犬。うち白黒の子犬が、離れた坂の上で軽く前足を浮かして誘うポーズ。それにつられて二匹が駆け寄るのを、雌犬によりそう甘えた顔の白犬が眺める。雌犬の耳を引いた、やや緊張した顔がリアル。

すばらしい作品ばかりを見すぎたせいで疲れて集中力が切れ掛かってきたところに、芦雪でほっとした。顔が自然とにやけてしまう。子犬の前のめりな歩き方、口吻の膨らみ、細い尻尾、どれもこれもかわいらしい。

 

35《牡丹花肖柏図屏風 長沢蘆雪 江戸時代中期 18世紀後半》

夕焼けの下、肖柏が牛の背に逆を向いて乗っている。牛の頭に牡丹が乗せられている。肖柏は室町時代連歌師。初め肖柏と名乗るが、後に牡丹花(ぼたんげ)と改名。晩年を和泉国堺で送り、宗祇よりの古今伝授を堺の門人の間に伝えた。

のんびりした風景に心が落ち着く。いつまでも眺めていたくなる画でした。

 

37《蓬莱山・双鶴図 長沢蘆雪 江戸時代中期 18世紀後半》

縦に墨の一筆でグラデーションを作って山肌としている。

 

38《清流翡翠図 長沢蘆雪 江戸時代中期 18世紀後半》

水中の魚を狙う翡翠の画。透き通った水の中にドジョウとハヤが泳いでいる。

 

41《飲中八仙図屏風 曾我蕭白 江戸時代中期 18世紀後半》

26の蕪村と同じ画題の屏風。

疲れている時に毒々しい蕭白はきつすぎて、他の二つは流して見てしまった。水墨画なためタッチが幾分やわらかい。思い返せば山水図はかっこよかった気がする。

 

42《牡丹孔雀図 長沢蘆雪 江戸時代中期 18世紀後半》

硬い尾羽の質感がみごと。

応挙展で牡丹孔雀図が前期展示だったのを諦めようかと思ってた矢先にこれを見てしまったので、近いうちに根津美術館に行こうと思う。

 

特別展を見終わったら、高級ホテルのスイーツビュッフェに行ったような気持ちになりました。メインディッシュをこれでもか、これでもかと出されたような気分。ごめんなさい。お腹いっぱいです。

 

一巡するのに2時間強かかりました。すでに、特別展だけで消耗してしまい、平常展をチラっと見て量に慄き、そのまま突入する気力がなくなりました。ひとまず、足湯カフェでおしるこを頂いて仕切り直しすることに。

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生き返るー。

足湯に浸かりながら、福井江太郎による巨大壁画「風・刻(かぜ・とき)」(風神雷神図)を眺められます。

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ごくらく、ごくらく。

 

岡田美術館は入場料が 大人2800円とかなりお高めです。サントリー美術館の其一展二回分以上です。お金を出すときには正直ボッてるなあと思いました。でも、特別展を見た後、これからあの膨大な常設展を回ると思うとそりゃあ二回分は余裕であると納得したものです。

 

常設展の話は別記事で。