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国宝 雪松図と花鳥 ―美術館でバードウォッチング―@三井記念美術館

正月の目出度い気分をまだまだ味わいたくて、三井記念美術館へ。f:id:Melonpankuma:20180107225314j:plain

只今、国宝 雪松図と花鳥 ―美術館でバードウォッチング―(キャッシュ)を開催しています。
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正月の恒例となっています国宝 雪松図屏風の展示に合わせ、今回は館蔵品のなかから花鳥をテーマに作品をセレクトいたしました。なかでも、鳥が描かれた絵画や、鳥をかたどったり、鳥にあやかった名称の工芸品などに焦点を合わせております。花鳥画の鑑賞とともに、美術館でバードウォッチングも楽しめます。

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湯島聖堂

夫から伊東忠太の建物が見たいというリクエストがあって、湯島聖堂に行きました。

www.seido.or.jp

秋葉原駅から御茶ノ水駅に向かって外堀通りを上ります。
f:id:Melonpankuma:20180107225318j:plain画面中央、小さく信号機のある交差点から右に延びる坂道を登れば湯島の天神さんで、浮世絵でよく見る昌平坂です。


歌川国芳が《名所江戸百景 昌平橋聖堂神田川》や《東都富士見三十六景 昌平坂乃遠景》で描いています。この写真で、時速40キロ制限の道路標識の向こうに見える白壁が、浮世絵にも描かれている湯島聖堂築地塀。現在、神田川湯島聖堂に挟まれる坂を相生坂と呼んでいます。ビルが道路両脇に建って見通しが悪いので、浮世絵どおりの風景を見られないのが残念です。

 

湯島聖堂の敷地に入ってすぐにある建物は、《斯文会館》です。
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屋根に翼を持った鬼がいます。
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ひと目見て、妖怪好きの伊東忠太の設計だとわかります。

湯島聖堂関東大震災で焼失したので、入徳門以外は、伊東忠太の設計、大林組の施工で昭和10年に再建したものだそうです。孔子を祀った儒教の廟なので、中国風の建築になっています。

屋根瓦の鯱は、大口を開けて棟を咥えていました。
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大棟の鯱だけ他とは違う形をしているようなので、拡大してみたところ、
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鳩が止まっているだけでした。

《仰高門》
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湯島聖堂へ向かう最初の門で、その名前は、孔子の『論語』子罕第九「顔淵喟然歎曰、仰之彌高、鑽之彌堅(顔淵、喟然として嘆じ曰わく、これを仰げばいよいよ高く、これを切ればいよいよ堅し)」による。

孔子銅像や槐樹の前を通り、次にくぐるのは《入徳門》です。
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関東大震災で焼失を免れた聖堂内で唯一の木造建築物で、宝永元年(1704)の建造。入徳とは、朱熹の『大学章句序』にある「子程子曰、大学、孔子之遺書而初学入徳之門也(子程子曰く、大学は孔氏の遺書にして、初学徳に入るの門なり)」による。『大学』というのは、儒教の経典である四書のひとつです。

黒漆塗りの彫刻は霊獣の獏です。
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仰高門をくぐり、水屋のある広場から階段を上がった先に、杏檀門が見えます。
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《杏檀門》
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杏壇は、中国山東省曲阜にある孔子廟に習って命名されたものです。曲阜の孔子廟の杏檀門は、同じく大成殿の前にあり、杏の木の下で孔子が講学を行った場所とされています。

《大成殿》
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大成とは、孔子廟の正殿のこと。『孟子』万章下「孔子聖之時者也、孔子之謂集大成、集大成也者、金聲玉振之也(孔子は聖の時なる者なり、これを集めて大成すと謂ふ。集めて大成すとは、金声して玉之を振するなり」による。

屋根の流れ棟の先には、鬼顔の虎。
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不気味な雰囲気が漂います。

 大棟の先端の鯱は、高く潮を吹いています。
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こちらも、相当に厳めしい鯱です。

大成殿の中には、中央に孔子像、その左右に孟子顔子、曽子、子思の四賢人祀られています。
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孔子像の前に並べられているのは、釈奠器(せきてんんき)。釈奠とは、古代中国の学校において、食物や酒をささげて孔子やその弟子たちを祭った行事のことだそうです。

震災で焼失した大成殿の棟飾りが展示されていました。

《鬼龍子(きりゅうし)》
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聖堂の大成殿屋根、流れ棟の四隅に鎮座。寛政11年(1799)聖堂の規模が史上最大当時の鋳造である。大正12年(1923)の関東大震災の際、罹災し焼け落ちたもの。鋳銅製、重量93.5kg。形態は猫型蛇腹(豹型龍腹)で牙がある。様態は狛犬に似た姿で、顔は猫科の動物に似ており、牙を剥き、腹には鱗があり蛇腹・龍腹となっている。鬼龍子は伝説上の霊獣で、孔子のような聖人の徳に感じて現れるという。古代中国伝説の霊獣「騶虞(すうぐ)」によく似ている。

《鬼犾頭(きぎんとう)》
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聖堂の大成殿屋根、棟の両端に鎮座。寛政11年(1799)聖堂の規模が史上最大当時の鋳造である。大正12年(1923)の関東大震災の際、罹災し焼け落ちたもの。鋳銅製、重量約120kg。形態は、一種の鯱(しゃち)型で、龍頭魚尾、二脚双角、頭より潮を吹き上げ、外側を向いて取り付けられている。鯱はもと「鴟尾(しび)」と言い、古くは漢代(BC206-AD2)に始まり、五代・宋(907-1279)の頃に魚型に変化した。鬼犾頭は、想像上の神魚で、水の神として火を避け、火災を防ぎ、建物を守るために祀られる。

伊東忠太の作ったものと比べると、鬼龍子も鬼犾頭も、ふっくらと丸みを帯びていて、可愛らしい印象さえ感じます。

 

 《宥座の器(ゆうざのうつわ)》
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宥座とは、身近や身のまわりという意味。「中庸」をわかりやすく教え、身近に置いて戒めとするための器です。孔子は「いっぱいに満ちて覆らないものは無い」と慢心や無理を戒めました。

やってみれは、すぐにわかりますが、空の時は傾き、水を適度に入れると真っ直ぐに立ちます。
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となれば、こぼれるところまでやりますよね?

 

同じ伊東忠太設計の築地本願寺と比べると、湯島聖堂の方が聖獣も多くて造形も派手。調べると、湯島聖堂の方が建築が後なんですね。築地本願寺の成功で味を占めたのでしょうか。伊東忠太の霊獣探しが楽しかったので、また他の建築物も見に行きたいと思います。

この後、湯島聖堂の裏にある神田明神にお詣りしようと、すぐ前まで行ったのですが、門前の大行列に恐れをなして止めました。どうやらテレビで放送があったばかりだったようで。上野に行くのによく通る場所なので、また別の機会にしましょう。

博物館に初もうで 犬と迎える新年@東京国立博物館本館

現在、東京国立博物館本館の特別1室と特別2室では、企画展「博物館に初もうで 犬と迎える新年」を開催中です。
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www.tnm.jp

平成30年の干支は「戌(いぬ)」です。犬は古くから世界中で人間に飼われていた、最も身近な友達ともいえる動物で、様々な文化に影響を与えてきました。それは日本も例外ではなく、遅くとも縄文時代には犬は人間と共に生活する親しい存在でした。

この特集は、日本人に愛されてきたかわいらしい子犬や珍しい異国の犬の造形に注目する「いぬのかたち」と、常に人と共にあった犬の文化史的な意義を追う「いぬとくらす」という2つのテーマで人間と犬とのかかわりを紹介いたします。時に世俗から離れて暮らす理想の生活のなかに、時に都市の雑踏のなかに、あるいは美女に抱えられてあらわされた犬。日本人の愛した犬のイメージとバラエティーに富んだ素材や表現による作品を通じて、そこに込められた愛情深いまなざしと共に新年を迎えます。

新春イベント開催日の特別1室は、大変混雑していました。
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博物館に初もうで@東京国立博物館

新年あけましておめでとうございます。
良いお年をお過ごしのことと存じます。
皆様にも眼福多き一年となりますよう 心からお祈り致します。

 

博物館初めとして、東京国立博物館にて新年恒例「博物館に初もうで」に行きました。
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今年もよく晴れました。

本館玄関の階段部分にステージができていました。いつもながら生け花が見事です。
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手前のは竹、松、南天桐に枝垂れ柳。そういえば、今年は池の中には飾りがありませんでしたね。

ステージを挟んで反対側の生け花は椿、蝋梅、松、木瓜、そして、梅の木苔。
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つい先日、科学博物館で地衣類展を見たばかりだったので、このタイミングでウメノキゴケを見られるのがうれしい。
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銀色に光ってきれい。

melonpankuma.hatenablog.com

本館はとても混んでいました。大階段の踊り場にある展示室が開いています。
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真生流家元の山根由美氏の作品です。
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竹、松、南天桐、木瓜、椿、木瓜、そして、梅には梅の木苔も。生けてある壺も立派。

和太鼓が始まりました。
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和太鼓は《湯島天神白梅太鼓》の演奏です。
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かっこいい。やはり太鼓は力強い音が出て、迫力があります。

獅子舞は《葛西囃子中村社中》です。
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お昼ご飯は、今年もゆりの木膳にしました。
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新年早々、賑やかに過ごせて楽しかった。

展示は後日、人が減ってからゆっくり観るつもりで、この日はさらっと流すだけにしました。

 

2017年の様子はこちら。
melonpankuma.hatenablog.com

今年は落語とかがなかったのが、残念でした。

2017年 クマ的展覧会トップ3

今年もたくさんの展覧会に行きました。Twitterなどで多くの方が行ってよかったランキングを発表しているので、私も倣ってみることに。

  • 2017年印象に残った展覧会
  • 2017年の展覧会の感想
  • 2017年クマ的展覧会トップ3

参考までに昨年のはこちら。

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企画展「地衣類―藻類と共生した菌類たち―」@国立科学博物館

2017年の最終開館日に、国立科学博物館へ行きました。

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お目当ては、日本館地下一階の多目的室で開かれている、地衣類展です。
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www.kahaku.go.jp

本企画展では、見えているのに見られていない、一見すると地味な「地衣類」の面白い姿や特徴をご紹介します。当館が所蔵する約25万点の地衣類標本から約70点を厳選し、身近な場所をはじめ高山や熱帯、南極など様々な環境に生きる地衣類や、人の暮らしとの関わり、含まれている化学成分などについて展示します。コケ植物と混同されがちな地衣類ですが、藻類と共生した菌類が正体であることや、菌類が地衣化することの意義などについても解説します。

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