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刀剣鑑賞の歴史@東京国立博物館本館

現在、東京国立博物館本館14室で、「刀剣鑑賞の歴史」の特集展示をしています。未だ面白みを見いだせずにいる日本刀の世界ですが、よい機会なので14室と13室の刀剣を集中して観ることにしました。

14室  刀剣鑑賞の歴史

www.tnm.jp

刀剣の鑑賞は、「姿(すがた、形状)」、刀身表面にあらわれる木目のような模様の「地鉄(じがね)」、そして焼刃の模様である「刃文(はもん)」などを見どころにしています。姿は制作された時代ごとの特徴、地鉄は流派の特徴、そして刃文は刀工自身の特徴が表れるとされ、その分析は近代以前から既に高度に発達していた歴史があります。この特集では、茎(なかご、刀身の柄)に作者の銘が残る刀剣と、同一作者の無銘の作品を展示し、刀剣がどのような視点から鑑賞されてきたかを辿ります。 

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本特集では、銘があるものないものの二口を並べて展示していました。「姿は制作された時代ごとの特徴、地鉄は流派の特徴、そして刃文は刀工自身の特徴が表れる」とありましたので、特にその三点に注目して鑑賞しました。

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中国書画精華―日本人のまなざし―(後期)@東京国立博物館 東洋館

夕暮れ時、東京国立博物館の東洋館で開催中の「中国書画精華」展へ。
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展示替えの後も何度か東博に行ったにも関わらず、東洋館に足を向けることなく行きそびれていました。展示終了間際なのに気がついて慌てて駆けつける始末。

melonpankuma.hatenablog.com

東洋館 8室 中国書画精華―日本人のまなざし― 

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朝一番だろうが、夕暮れ時だろうが、閑散としていることには変わりのない東洋館8室です。

 

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オルビス30周年記念「ケの美」展@ポーラ ミュージアム アネックス

銀座のポーラミュージアムアネックスで面白い展示をしていると聞き、観に行きました。オルビス30周年記念 「ケの美」展(リンクはキャッシュ)です。

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グラフィックデザイナーの佐藤卓氏をディレクターに迎え、日本人の伝統的な世界観である「ハレ」と「ケ」の「ケ」、すなわち当たり前に繰り返される日常生活の中における「ケ」に着目、そこに潜む「美」とは何かを、クリエイター14名の方々にご参加頂き、浮かびあがらせます。会場では、一般の方々が「朝食」「場所」「漢字」の3つのテーマで日常だと感じる写真の投稿により構成される、参加型展示「みんなのケ」も実施。日々の生活における「ケ」の存在に様々な視点で気付きをもたらします。

 14名のクリエイターは、「くるみの木」代表・空間コーディネーターの石村由起子、「SIMPLICITY」代表・デザイナーの緒方慎一郎、作家の小川糸、建築家の隈研吾放送作家・脚本家の小山薫堂イラストレーターの塩川いづみ、プロダクトデザイナーの柴田文江、武者小路千家家元後嗣の千宗屋、料理研究家の土井善晴、「クラムボン」ミュージシャンの原田郁子、「群言堂」代表・デザイナーの松場登美、「ミナ ペルホネン」代表・デザイナーの皆川明、落語家の柳家花緑、手芸家の横尾香央留です。

 

展示の撮影が許可されていました。
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展示は作家別に区切られて、ご本人の写真と「ケの美」についての逸品とそれにまつわる文が綴られ、さらに持ち物の写真がパネルになって展示されていました。
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《植物の香りを楽しむ ー無花果の葉ー 石村由起子》
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《鉄瓶とミトン》
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《シンクロニティ 4話 柳家花緑
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《急須のポッチ 横尾香央留》
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あまり広くない展示室ですが、私の他に十人に足りない程度でしたので、最も時間のかかる家禄師匠の展示も4話全て聞くことができたし、ゆっくりと見て回ることができました。この展示は心穏やかに見て回りたいものばかりでしたから、この環境はありがたかった。暮らしの中にある、ささやかにして美しいものを見出す心のあり方に感動して、どの展示も心に残るものばかりでした。 

近代の御大礼と宮廷文化(中期)@明治神宮文化館

この日は朝一番に外苑前に向かい、まさに見頃を迎えたイチョウ並木を眺めました。
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その後、明治神宮まで歩いて、明治神宮文化館の宝物展示室に向かいました。
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しかし、開館時間になっても開かない。なんと、この日は展示替えにつき閉館日。しかも、前期を逃してしまいました。
皆様、お出かけ前に今一度開館情報を確認しましょうね。

 

日を改めて、出直しました。
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kyuteibunka.iz2.co.jp

明治天皇の御大礼は、明治元年(一八六八)八月二十七日(新暦十月十二日)新式の即位礼が京都御所の紫宸殿で催され、また同四年十一月十七日(新暦十二月二十八日)夜、古式に即った大嘗祭が、初めて東京の皇居で営まれました。
 しかも、明治天皇の聖旨により、それ以後も京都で行うことが定められた即位礼と大嘗祭は、大正四年(一九一五)十一月の十日と十四日、及び昭和三年(一九二八)十一月十日と十四日に実施されたのです。
そこで、「明治」改元から百五十年目の今年、明治を中心に大正・昭和も含めて即位礼と大嘗祭に関する重要な資料を精選して、明治神宮文化館宝物展示室で特別展覧会を催します。

《霊鵄形大錦旛》 《頭八咫烏形大錦旛》 《日像纛旛》 《月像纛旛》
御大礼で使われるもので、日像纛旛(にっしょうとうばん)は赤地の瑞雲の錦に金糸で日像、月像纛旛(げっしょうとうばん)は白地の瑞雲の錦に銀糸で月像、頭八咫烏形大錦旛(やたがらすがただいきんばん)は五彩瑞雲の赤地錦の旛に頭八咫烏、霊鵄形大錦旛(れいしがただいきんばん)は五彩瑞雲の白地錦の旛に金鵄が刺繍されている。

《御帳台(みちょうだい)》  《倚子》
明治天皇の御大礼の際に用いられたもの。寝殿造の室礼と調度を記した古文書『類聚雑要抄』の記載を元に縮小復元された。孝明天皇即位に使われた高御座(たかみくら)が安政元年(1854年)の内裏焼失によって失われたことで、例年の節会などに使う帳台を代用した。
御帳台は本来座臥のための施設だったのが、後に権威の象徴となった。中には繧繝縁の畳と茵が置かれる。帳(とばり)は白絹で布筋が紅と紫で鳳凰と桐の模様。その横に展示された黒漆の倚子は、座面に座布団のように茵が置かれ、椅子の両脇に獅子と狛犬が置かれていた。

 

明治天皇即位式では、時代の変化に相応しい新しい即位式の挙行を目指して、1300年前から続く唐風の装束や装飾を払拭した。礼服の代わりとして平安時代以来礼服に次ぐ正装であった束帯が使用され、庭に立てる儀仗用の旗の代わりに幣旗という榊がたてられた上、新時代の到来を宣布する目的で、前庭に地球儀が据えられた。

 

《檜扇》
薄板の檜を要で留めた扇。極彩色の絵が施され、大嘗祭など五節舞では十二単に檜扇を持って舞が奏される。

《御斎服》
明治天皇新嘗祭で御着用のもの。御斎服は、純白生織りの白い袍で、天皇が神事の際に御着用する最も清浄にして神聖な装束。その形式は、平安朝の頃からそのままの姿とされている。

《黄櫨染の御袍》
天皇が皇室祭儀の恒例臨時を通じて最も多く用いられる御装束。黄櫨染で桐、竹、鳳凰麒麟の文様が入る。黄櫨染は、櫨の樹皮と蘇芳から染め出される色で中天の太陽を象徴し、絶対禁色とされている。即位式では、孝明天皇までは唐風の袞冕十二章を御着用だったのを、明治天皇以降、黄櫨染の御袍が用いられるようになった。

明治天皇即位式図 小原家文庫(皇學館大学佐川記念神道博物館)》
日王式で行われた、明治天皇の紫宸殿における即位式の様子を鳥瞰して描いたもの。旙類が真榊、香炉が地球儀、高御座が御帳台になった。

《挿華》
天皇が御即位された大嘗祭では、その時々の生花を髪に挿された古来の風習から、大正以降は銀製の挿華が列席者に配られた。大正大礼挿華は京都御所の桜と橘、昭和・平成の大礼挿華は京都御所の梅・竹。

《魚袋》
魚袋(ぎょたい)は、平安時代以来、束帯装束に使われる装飾品。金魚袋は親王および三位以上、銀魚袋は四位・五位の者が使用する。

五節舞装束》
大正4年(1915)11月16日、大正天皇御大礼大饗の儀が二条離宮で行われ、萩原種子(豊国神社の社務で子爵萩原員種の三女)らの五節舞奉仕が行われた。展示は萩原種子着用のもの。五節舞は、天武天皇の時代、吉野に天女が現れて袖を五度振って舞ったとの伝説に基づき、大嘗祭新嘗祭で4、5人の舞姫によって舞われる。明治天皇大嘗祭では五節舞は行われず、大正の大礼で復興された。以降は、大嘗祭後の大饗でのみ行われている。

 

こじんまりとした展示なので、展示室内にいたのは一時間ほどだったと思います。
再来年に天皇の譲位と御大礼が行われる予定になっているので、過去の御大礼がどのようなものだったのかを知る良い機会になりました。後期に再訪予定です。

日本美術の流れ@東京国立博物館 本館

上野公園噴水前広場にTOKYO数寄フェス2017のインスタレーションがありました。

プラテネス ―私が行きたようにそれらも生き、私がいなくなったようにそれらもいなくなった― 大巻伸嗣》
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上野公園ができる前にあった寛永寺をイメージして、寛永寺の山門「文殊楼」をモチーフにして作られたものだそうです。

開館直後だったので、運慶展をお目当てにしている人が正門前に列をなしていました。東博に入場するのに行列に並んだのは初めてです。
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この後、構内に平成館に向かって大きな列が伸びました。

 

今回、前記事にあるとおり企画展の展示替えに合わせての訪問でしたが、常設展示の展示替えもあったので、そちらの気になったものをメモとして残します(◉は国宝、◎は重要文化財、◯は重要美術品)。

  • 本館 3室 仏教の美術―平安~室町
  • 本館 3室 宮廷の美術―平安~室町
  • 本館 3室 禅と水墨画―鎌倉~室町
  • 本館 18室 近代の美術
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室町時代のやまと絵―絵師と作品―(後期)@東京国立博物館 本館

現在、東博本館2階、特別1室と特別2室で、企画展「室町時代のやまと絵―絵師と作品―」が行われています。一部、展示替えがあったので、再訪しました。

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