日本美術の流れ@東京国立博物館 本館
上野公園噴水前広場にTOKYO数寄フェス2017のインスタレーションがありました。
《プラテネス ―私が行きたようにそれらも生き、私がいなくなったようにそれらもいなくなった― 大巻伸嗣》
上野公園ができる前にあった寛永寺をイメージして、寛永寺の山門「文殊楼」をモチーフにして作られたものだそうです。
開館直後だったので、運慶展をお目当てにしている人が正門前に列をなしていました。東博に入場するのに行列に並んだのは初めてです。
この後、構内に平成館に向かって大きな列が伸びました。
今回、前記事にあるとおり企画展の展示替えに合わせての訪問でしたが、常設展示の展示替えもあったので、そちらの気になったものをメモとして残します(◉は国宝、◎は重要文化財、◯は重要美術品)。
- 本館 3室 仏教の美術―平安~室町
- 本館 3室 宮廷の美術―平安~室町
- 本館 3室 禅と水墨画―鎌倉~室町
- 本館 18室 近代の美術
室町時代のやまと絵―絵師と作品―(後期)@東京国立博物館 本館
六本木開館10周年記念展 天下を治めた絵師 狩野元信(後期)@サントリー美術館
またも台風で天気の怪しい週末。家から天候に関わりなく行ける美術館として重宝している、サントリー美術館に行きました。狩野元信展のメインビジュアル、《四季花鳥図(旧大仙院方丈障壁画)》を観るために再訪です。
再訪とは言っても、本展は展示替えが6回もあって、場面替え含めて展示内容はほぼ入れ替わっています。作品リストで確認すると、前回訪問と重複するのは複製の《四季花鳥図屛風》とボストン美術館蔵の《白衣観音像》《金山寺図扇面》くらいでした。
www.suntory.co.jp
狩野元信(1477?~1559)は、室町時代より長きにわたり画壇の中心を担ってきた狩野派の二代目です。狩野派とは、血縁関係でつながった「狩野家」を核とする絵師の専門家集団であり、元信は始祖・正信(1434~1530)の息子として生まれました。元信は極めて卓越した画技を持ち、その作品は歴代の狩野派絵師の中で最も高く評価されていました。
以下に、気になったものをメモとして残します。(真)(行)(草)と示したのは、展示の説明書に付けられた狩野派の画体区分です(◎は重要文化財、◯は重要美術品、◆は京都府指定有形文化財、◇は京都市指定有形文化財)。
- 第1章 天下画工の長となる ― 障壁画の世界
- 第2章 名家に倣う ― 人々が憧れた巨匠たち
- 第3章 画体の確立 ― 真・行・草
- 第4章 和漢を兼ねる
- 第5章 信仰を描く
- 第6章 パトロンの拡大
運慶の後継者たち―康円と善派を中心に@東京国立博物館 本館
つい先日、東博平成館で運慶展を観ました。その余韻のあるうちに復習がてら、本館で展示されている慶派の作品を観に行きました。
本館 14室 運慶の後継者たち―康円と善派を中心に
続きを読む鎌倉時代に活躍した仏師運慶(うんけい、?~1223)に連なる一派を慶派(けいは)といいます。運慶は数多くの仏師を擁する工房を営み、数々の造仏を手がけました。その写実を基本とした、量感豊かで力強い作風は、新興の武家のみならず、寺社や公家をも魅了し、後の世代にも大きな影響を与えました。なかでも運慶の孫にあたる康円(こうえん、1207~?)は、当時の慶派を代表する仏師として注目すべき存在です。
康円と同じ頃に活躍した仏師、善円(ぜんえん、のち善慶(ぜんけい)と改名、1197~1258)も見逃せません。善円らの系統の仏師たちを善派(ぜんぱ)と呼んでいます。善派は慶派の本流とは一線を画し、奈良を中心に活動していたことが遺品からわかります。
本特集では、康円および善円の作品を中心に、運慶以後の鎌倉彫刻の展開について紹介します。
室町時代のやまと絵―絵師と作品―(前期)@東京国立博物館 本館
現在、東博本館2階、特別1室と特別2室で、企画展「室町時代のやまと絵―絵師と作品―」が行われています。
続きを読む室町時代には、水墨を基調とする「漢画(かんが)」とともに、伝統的な「やまと絵」も描かれていました。これまでの技法・主題を継承しつつも、革新的で華やかなやまと絵作品が数多く生み出されたのです。こうしたやまと絵の中には、描いた絵師の名が判明する作例も多く、絵師それぞれの個性の違いや、同じ絵師が描いたとされる作品の中でもスタイルの差異を確認することもできます。
この特集は、室町時代やまと絵師たちの画業をたどるとともに、その豊かな表現世界に光をあてるものです。知られざる室町時代やまと絵の世界をどうぞお楽しみください。