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超・日本刀入門 ~名刀でわかる・名刀で知る~静嘉堂文庫美術館

静嘉堂文庫美術館に行きました。
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お目当ては、この日から始まった展示会、超・日本刀入門 -名刀でわかる。名刀で知る-です。
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武士の魂“日本刀”は、1000年におよぶ歴史のなかで、武器として武人を鼓舞し、美術品としても鑑賞されてきました。近年ブームに沸きながら、しかし道具としても美術品としても身近ではない日本刀。「全部同じに見える」「どこを見ればいいのか分からない」「専門用語が難しすぎる」といったさまざまな疑問やお悩みを徹底的に解決します!

まさに、私のようなこれから日本刀を見ようとする人向けの企画です。しかし、初心者以外には物足りないのないかというと、決してそんなことはなくて、今回、静嘉堂所蔵の刀剣約120振のうちから、国宝1件と重要文化財8件を含む厳選の30振を一堂に展示したそうで、そんなことは美術館開館以来初めてだという程の大盤振る舞いらしいです。むしろ、日本刀ファン必見の展示だそうな。

入場すると、本展のちらしと展示品リストの他に日本刀鑑賞の手引きがもらえます。
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鑑賞の手引きには、日本刀の形態による分類、製作時代による分類、刀の部位の名称、刀のみどころ(刀文、肌、造り込みの種類、沸と匂)が丁寧に解説してあります。

そして、展示室の入り口にも、鑑賞のコツがパネルにしてありました。普段、展覧会で説明文をあまり読まない私ですが、今回ばかりはじっくりと読みました。ふむふむ、自分が上下に動いて視点を変えて見るのがポイントなんですね。

展示室はこんな雰囲気です。
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通常展示室内の撮影は禁止ですが、今回私はブロガー内覧会に参加し、特別に美術館から撮影の許可を頂きましたことをお断りしておきます。

以下、気になったものを以下にあげます(◉は国宝、◎は重要文化財、◯は重要美術品)。

《◉手掻包永太刀 包永 大和国 鎌倉時代(13世紀)拵 江戸時代(18~19世紀)》
鎬(しのぎ)が高く反りも高い。鍛え肌は板目肌が流れて柾目交じり。刀文は中直ぐ調で部分的に乱れる。

《◎新藤五国光太刀 國光 相模国 鎌倉時代(13~14世紀)》
まず、国光の作が生ぶ(切り詰められないままの姿)で残っているのが珍しい。小切先で鳥居反り(反りの中心が刀身の中程。全体が鳥居の笠木(上の水平に渡している木)のような形をしたもの)。

《◎古備前高綱太刀(号 滝川高綱)高綱 鎌倉時代(12~13世紀)附 朱塗鞘打刀拵 桃山時代(16世紀)》
《伝 長船兼光刀(号 後家兼光)大磨上げ無銘 南北朝時代(14世紀)附 芦雁蒔絵鞘打刀拵 明治時代(19世紀)》

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二子玉川駅から静嘉堂文庫美術館に向かう玉31系統のバスの中にも目立つところに、後家兼光の写真に「秀吉から愛の武将、直江兼続に送られた」のコピーがついた広告が貼ってありました。そういえば、堺雅人あさイチ真田丸で妻にするなら直江兼続と即答してたな、秀吉と真田信繁で取り合いかあなんて変な妄想してしまいましたよ。 

《津田助広刀 「津田越前守助廣」ト有 摂津国 江戸時代(18~19世紀)附 黒蠟色塗鞘打刀拵 江戸時代(19世紀)》
今回の特別展示品。静嘉堂文庫の刀剣コレクションは三菱第二代社長、岩崎彌之助明治20年(1887)頃から本格的に収集したものです。岩崎は若い頃に私塾で同級生と争いになり、切りかかってきた相手の刀を受けて逃れたという事件があったそうで、その時のキズがこの刀の棟に生々しく残っていました。

 

刀装小道具・鍔の展示も多くあります。

《藤蔓巻柄黒研出鮫印籠刻鞘合口拵(佐吉貞短剣刀 付属) 江戸時代(18~19世紀)》
黒の鮫肌に金で松毬模様が描かれている。

《石黒是美作 花鳥図大小鐔・三所物 - 江戸時代(19世紀)
石黒派は花鳥を題材とし、高彫りで各種の色金により象嵌を施した絢爛華麗な作風が得意。黒地に錦鶏と大輪の牡丹を描いている。緋色銅が鳥の腹や尾羽に使われていて華やかでした。

《京透し(大五郎)文字透し鍔 無名 江戸時代(18世紀)》
暮、幕、墓、蟇、慕、募の文字が図柄を残し地を抜いた、地透で作られている。

 

本展では日本画の展示も二点あります。

《◎平治物語絵巻 信西巻 紙本着色1巻 鎌倉時代(13世紀)》
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平治物語絵巻は、1160年に起きた平治の乱のおよそ100年後の鎌倉時代中期に描かれたと考えられ、本品の他に《三条殿夜討巻 ボストン美術館》と《六波羅行幸東京国立博物館》の合わせて3巻が現存している。今回展示されているのは、追われた信西は自害し従者に埋められたが、掘り返されて首実験をされた後、なぎなたの先に首を刺した騎馬隊が都大路を進んで晒されたという場面。NHK大河ドラマ平清盛では阿部サダヲ信西を演じていたので、つい、あのお顔が晒し首になっているのを想像してしまいました。上の写真に見えるのは待賢門の戦いの場面。

 

帰り二子玉川駅近くで、冬の具だくさんしっぽくうどんとミニ天丼。
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体が暖まりました。

結玉 二子玉川店

食べログ 結玉 二子玉川店

 

NODA・MAP 足跡姫~時代錯誤冬幽霊@東京芸術劇場

野田秀樹作・演出によるNODA・MAPの足跡姫~時代錯誤冬幽霊を観ました。
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キャストは、宮沢りえ妻夫木聡古田新太佐藤隆太鈴木杏池谷のぶえ中村扇雀野田秀樹と豪華です。

 

場所は東京芸術劇場

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池袋は土地勘がなくて、南口に出るのに迷ってしまいました。地元からは山手線でぐるっと回るので、方向感覚なくして南北逆に歩いてしまいましたよ。
プレイハウスのS席でしたが、くじ運悪く二階席だったので舞台から遠く、役者の表情が見えずに残念でした。オペラグラス持ってくればよかった。舞台には桜の木が描かれた幕が下ろされていて、歌舞伎の芝居小屋のような花道(しかもスッポンつき)が作られていました。芝居中、花道を役者が行き来するシーンがとても多いので下手が楽しいと思います。

本公演は、2012年12月に亡くなられた十八代目中村勘三郎へのオマージュとして「肉体の芸術、残ることのない形態の芸術」について書かれた戯曲です。野田戯曲の特徴である言葉あそびが随所に入り、多くの物語が重なり合って出てきますが、ん十年前の野田戯曲と比べたら格段に本歌取りも少なく平易で、ちょっと拍子抜けしたくらいです。

個人的には万歳太夫の着物が扇柄だったのにクスッときました。こちら、先日東京国立博物館で見たばかりの《万歳図 1幅 宮川長春筆 江戸時代・18世紀》です。
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万歳(まんざい)は太夫と才蔵が一組になって新年のお祝いをして全国を回る伝統芸能です。現代の漫才の元。太夫は烏帽子をかぶって素襖(単の着物)に平袴で扇子を持ちます。ちなみに才蔵は大黒頭巾をかぶり、袋を背負って手には小鼓を持っています。

 第一幕80分の後に15分の休憩が入って第二幕65分という時間構成でした。

本公演の最大の見所は、なんといっても三、四代目出雲阿国を演じる宮沢りえ。贅肉なんてこれっぽっちもない美しい体が舞台で翻ります。舞台演出もとても見ごたえありました。 

 

以下、後半はほとんど覚えていませんが、本戯曲に含まれるネタの解説をメモとして少々。あらすじにも関わってきますので、これから観に行かれる方は読み飛ばしてください。

 

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岩佐又兵衛と源氏絵@出光美術館

出光美術館で開催中の岩佐又兵衛と源氏絵展に行きました。昨年、山種美術館で《◎官女観菊図》に心奪われて以来、岩佐又兵衛の展覧会を待ち焦がれていました。

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まずは、出光美術館に行くときの定番コース。スペシャル・サンドゥイッチで腹ごしらえ。
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 満腹になって出光美術館に向かうと、美術館の前に結構な人だかり。

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私と同じ又兵衛ファンかと思いましたが、そんなわけはない。すぐ横が帝国劇場なので入り待ちでしょう。出光美術館は帝劇ビルの9階にあるのです。

 

出品リストをもらって、いざ展示室へ。
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 桃山時代から江戸時代はじめに活躍した画家・岩佐又兵衛(いわさまたべえ 1578-1650)。実感豊かな風俗画や絢爛豪華な絵巻群のほか、あらゆるテーマに貪欲に取り組んだ又兵衛ですが、画業の全体を見渡せば、その軸足は常に〈古典〉を描くことに置かれています。今展では、古典中の古典である『源氏物語』を描いた絵画(源氏絵)に大注目!又兵衛芸術に通奏低音のように流れる、優雅にして野卑な魅力を紹介します。

 

以下、気になったものを記します(◎は重要文化財、◯は重要美術品、所蔵先のないものは全て出光美術館蔵)。

第1章 〈古典〉をきわめる ―やまと絵の本流による源氏絵

2《源氏物語画帖 伝 土佐光吉 室町- 桃山時代(16世紀)》
色彩豊かなやまと絵で、玉蔓、藤裏葉、柏木、梅枝、若菜上、胡蝶、若菜下、初音、常夏、蓬生が描かれている。

3《◎源氏物語画帖 土佐光吉 慶長18年(1613)頃 京都国立博物館
美しく繊細な筆遣いのやまと絵。色鮮やかに、若紫、末摘花、紅葉賀、花宴、葵、賢木、花散里、須磨が描かれている。
紅葉賀では、若紫が人形遊びをしている。実に豪華なシルバニアファミリーです。
花宴は、廊下を扇を手にした六の君(朧月夜)が歩いているのを光源氏が目にする場面が描かれている。本来は夜更けのシーンだが、襖や御簾の模様まで明るく描かれている。

第2章 ひとつの情景に創意をこらす ―又兵衛の源氏絵の新しい試み

又兵衛は、工房の弟子たちを動員して数多くの源氏絵を手がけました。ただし、興味深いことに、又兵衛のサインや印章をそなえる源氏絵は、どれも一枚の画面にひとつの情景だけを描くという趣向を示しています。物語の全体像を俯瞰的にとらえるよりも、個々の特徴的なエピソードに向き合い、その内容を深く理解することこそ、源氏絵の制作に臨む又兵衛の基本的な姿勢だったといえます。この章では、又兵衛による単一場面の源氏絵を通じて、その斬新な表現の核心に迫ります。

4《○源氏物語 野々宮図 岩佐又兵衛 桃山 - 江戸時代(17世紀)》
本展覧会のポスターに使われた絵。元は福井時代に描かれた代表作の旧金谷屏風を軸装したもの。
江戸時代の福井の豪商金屋家に伝わっていた「旧金谷屏風」は、竜や虎、源氏物語、中国の故事など幅広い題材と技法の12枚の絵でできていた。元は、右から順に、虎図、源氏物語 花宴図、源氏物語 野々宮図、龐居士図、老子出関図、伊勢物語 鳥の子図、伊勢物語 梓弓図、弄玉仙図、羅浮仙図、唐人抓耳図、官女観菊図、雲龍図となっていた(近年、官女観菊図も源氏物語六条御息所斎宮が下向する一場面であると判明した)。
野々宮図は賢木を描いたもので、晩秋の頃、下向しようとしている六条御息所に再び気持ちを伝えに行く場面を描いている。物語で野々宮は、小柴垣を大垣にして連ねた質素な構えで、神々しい丸木の鳥居、篝火を炊いた番所が浮いて見える、人の少ない湿っぽい空気と書かれている。光源氏の顔は、又兵衛の人物描写の特徴である特徴豊頬長頤(ほうきょうちょうい)と呼ばれる、ふっくらとした頬と長い顎の顔。着物の柄も実に細やかで美しい。小柴垣や小菊、鳥居の紙垂を揺らす風がこの先の不安な場面を予感しているかのよう。
官女観菊図を初めて見たとき、自分が絵に吸い込まれていくような気がしましたが、この絵も同じ。又兵衛の白描はとても透明感があって美しく感じます。

5《和漢故事説話図 須磨 岩佐又兵衛 江戸時代(17世紀)福井県立美術館》
和漢故事説話図は旧岡山藩主池田家に伝来したもので、和漢の物語や故事などを題材にした12の絵でできた巻物だった。今は絵ごとに分けられて軸装されている。
須磨は、三月一日、海に禊に行った光源氏は突然の嵐に合い急いで帰宅した。美しい人に心惹かれた海の竜王が嵐を起こしたのだった。荒れ狂いふくらむ波、雷鳴と雷光、斜めに走る雨。木々はしなり、桜が散る。風に膨らんだ御簾越しに光源氏も強い風を受けている。

7《和漢故事説話図 浮舟 岩佐又兵衛 江戸時代(17世紀)福井県立美術館》
浮舟は、薫が宇治に匿っていた姫を、深い雪の日の夜、匂宮が連れ出して宇治川を小船で渡る場面。左の木々が繁茂している場所が舟をつけようとしている橘の小嶋だろう。空には黒い有明の月が浮かぶ。
二人に想われて困惑した浮船は、後に思い悩んで川に身を投げる。

8《源氏物語 総角図屏風 岩佐又兵衛 江戸時代(17世紀)細見美術館
総角の宇治川での紅葉狩りを描いた屏風。紅葉の枝を厚く屋根に葺いた舟は川を上り下りしながら奏楽をし、その音は山荘へも届いている。音楽をする人は紅葉の枝を冠に挿して海仙楽の合奏をしている。
左の橋の下に柴のようなものを運ぶ小舟が描かれている。又兵衛は身分によって顔を描き分ける。舟の上の彼らの顔はふくよかでないことから、身分が低い者だとわかる。紅葉といえば、紅葉賀の場面で、試楽にも関わらず光源氏が真剣に美しく舞うのを見て「もの見知るまじき下人などの、木のもと、岩隠れ、山の木の葉に埋もれたるさへ、すこしものの心知るは涙落としけり」とある。紅葉賀の艶やかな場面の演出をここに追加したのかもしれない。

第3章 さまざまな〈古典〉を描く ―又兵衛の多彩な画業

12《三十六歌仙・和漢故事説話図屏風 伝 岩佐又兵衛 江戸時代(17世紀)》

屏風の上に三十六歌仙が並び、下には源氏物語伊勢物語、飲中八仙図などの日本、中国の故事説話を画題に様々な画風の絵が並んでいる。
旧金谷屏風にしても和漢故事説話図にしても、小さく描いて大きな作品に仕立てるやり方が多いのは、分業で作る側として効率的だからだと想像する。画題当てをするのは確かに楽しいけれど、屏風そのものとしてはどうだろう。

14《○在原業平図 岩佐又兵衛 江戸時代(17世紀)》
光源氏と並ぶ古典名作、伊勢物語の色男。
野々宮図の光源氏と共通するところが多い美しい立ち姿です。何度も行ったり来たりして見比べました。

15《○伊勢物語 くたかけ図 岩佐又兵衛 江戸時代(17世紀)》
伊勢物語十四段陸奥の話。朝早く、従者を伴い女の元から帰ろうとする男。田舎の女はそれをくさかけ(鶏)が早く鳴くからだと不満げ。屋根には番の鶏。夜明けの薄暗さを薄く掃いた墨で表している。

第4章 単一場面から複数場面へ ―又兵衛の〈型〉とその組み合わせ

22《源氏物語図屏風 伝 岩佐又兵衛 江戸時代(17世紀)大和文華館》

上段右から若紫、蓬生、澪標、下段右から、明石、絵合、若菜上が描かれている。金雲は厚みがあり文様が入って豪華である。

23《源氏物語図屏風 伝 岩佐又兵衛 江戸時代(17世紀)高津古文化会館》
右から、桐壺、紅葉賀、澪標、絵合、玉蔓、胡蝶が描かれている。 

第5章 物語のながめ ―いわゆる54帖屏風にみる〈古典〉と創造

54帖をすべて書き込んだ屏風です。屏風の豪華さはもちろんですが、目を凝らして物語を読み取るかと思うと、あまりの量に絶望のため息が出ました。後半にこれはきつい。

27《源氏物語図屏風 伝 土佐光吉 桃山時代(17世紀)》
54帖がみっちりと描かれていて、すさまじいです。面積の半分は金雲ですが、54場面が細やかに描かれているので、単眼鏡を使って観ようとするとあまりに多すぎて気が遠くなりそうでした。お顔はやや固い表情。道順ではこの屏風のすぐ前にこの屏風から絵を抜き出して、源氏物語54帖のあらすじが描かれたパネルがあります。

28《源氏物語図屏風 岩佐勝友 江戸時代(17世紀)》
岩佐勝友は又兵衛の弟子。六曲一双の屏風で、左隻右隻にそれぞれ源氏物語の二十七帖を並べて描いている。色彩鮮やかで金雲も輝きが残り、とても保存状態が良い。又兵衛と比べて顔の表情がきつめ。

30《源氏物語図屏風残闕 葵 伝 俵屋宗達 江戸時代(17世紀)》
描かれているのは、賀茂祭の日見物に出かけるため、光源氏自ら若紫の髪そぎをする場面。俵屋宗達は大好きな絵師の一人なのだけれど、又兵衛の後に見ると単純化された顔の描き方に笑いが出ます。

第6章 江戸への展開 ―又兵衛が浮世絵師に残したもの

34《石山寺紫式部図 菱川師宣 江戸時代(17世紀)》
当時一番の人気絵師だった菱川師宣紫式部は、源氏物語石山寺で琵琶湖上の月を眺めていて着想したという伝承を絵画化したもの。

36《十帖源氏 野々口立圃 江戸時代(17世紀)早稲田大学図書館》
絵入りの版本で全十巻。130の挿絵に源氏物語のあらすじが書かれ、親しみやすいものとなっている。内容をさらに簡略したのが横に並べて展示されている《おさな源氏》である。

 

とても気持ちのよい時間をすごしました。文学としての源氏物語が優美で面白いのはもちろん、岩佐又兵衛が読者の想像の世界を損なうことなく清らかに美しく描いていて、鑑賞している間ずっと夢心地でした。これから行かれる方は、多少なりとも源氏物語を頭に入れて行ってください。本展示は話を知っていると知らないとでは大きく感じ方が違うものなので、予習が大事だと思います。もちろん、会場にも大きく場所を取ってあらすじの展示がありますけども。

先日のDavid Bowie is から日を空けずに源氏物語で、美しい方の一生を辿るような展示が続き、なんだか少女時代に戻ったような気分になりました。

休憩室から望む皇居。
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今にも雪が舞いそうな空でした。

休憩入れた後にも野々宮図の前に戻り、今度はソファに座って長く眺めました。本展示のポスターになっているので何度も目にしていますが、やはり、これが一番素敵です。又兵衛の白描もっと見たいなあ。

源氏物語の余韻がさめず、売店で紋かるた 源氏香図を買いました。
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源氏香とは、五つの香りからどれとどれが同じだったかを5本の縦線をつないだ52通りの模様で表し、その回答が「源氏香の図」のどの物語に該当するかを当てる遊び(源氏物語五十四巻だが、桐壷と夢浮橋の巻を除いて五十二巻としている)。このかるたは、その源氏香図にちなんだもので、歌札、下の句札、巻名札としてそれぞれ52枚ずつの香図入りの絵札が入っています。百人一首のように上の句を詠んで下の句を引いたり、神経衰弱のように模様あわせをしたりと遊び方いろいろ。このかるたで遊びながら、うろ覚えの源氏物語をしっかり覚えたいと思います。

寿ぎの品々を読み解く(前期)@三の丸尚蔵館

今日は寒風吹きすさぶ中、三の丸尚蔵館観へに行きました。今にも雪が降ってきそうな空でした。

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現在「寿ぎの品々を読み解く」展を開催しています。

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明治期以降,皇室の御慶事に際しては,各方面からお祝いの品としてめでた尽くしの掛軸や置物など,美術品の数々が献上され,現在,その一部が当館に引き継がれています。本展では,これらの品々に示された伝統的な吉祥の主題が,新しい時代の感覚によってどのように表現されたか,その造形美に注目して紹介します。

三の丸尚蔵館 - 宮内庁

 

5《青年画帖 日月 池田真哉 明治27年(1894)》
青年画帖は、明治天皇昭憲皇太后の銀婚式を祝って日本青年絵画協会が献上したもので、複数の画家の絵を台紙に貼って一帖の折本にしたもの。
池田真哉は柴田是真の次男。日月は、色紙の上に白地の紙で月を赤地の紙で太陽を表した。

5《青年画帖 徳若五万歳 庄司竹真 明治27年(1894)》
庄司竹真は柴田是真の弟子で山水、花鳥画に秀でた。積み重ねられた5匹の亀が赤い紐で結わえられており、その紐の房を蟹が引っ張っている絵。蟹の行いを非難しているかのような亀のユーモラスな顔が面白い。徳若に御万歳(とくわかにごまんざい)は、いつも若々しく長寿を保つようにという祝いの言葉。

8《天壤無窮(内宮・外宮・二見浦旭日図) 中村左洲 3幅対 大正14年(1925)》
中村左洲は三重出身で漁業に従事するかたわら山水や魚の絵を得意とした。地元伊勢では写実的な鯛の絵の名手であることから 「鯛の左洲」 と親しまれている。天壤無窮の三幅対は、両脇にそれぞれ伊勢神宮の内宮、外宮の風景を描いたもの、中央に二見浦の夫婦岩の上に昇る赤い陽が描かれたもので構成されている。静かで清らかな空気が感じられる作品。

18《瓦片鳩 山田宗美 1点 明治38年(1905)》
鉄の一枚板を叩き出したもの。この造形のすさまじさには狂気を感じてため息が出ます。社頭図を念頭においた製作だったとされている。

他に山田宗美の作品は、「驚きの明治工藝展」で《兎》を見ています。 

melonpankuma.hatenablog.com

 

21《金烏玉兎図花瓶 1対 大正4年(1915)》
金烏玉兎(きんうぎょくと)とは日月であり太陽と月のこと。金烏は太陽に棲むとされた3本足の烏で、玉兎は月に棲むとされた兎。この一対の大きな花瓶には、それぞれ胴に赤で金烏と玉兎が、頚に干支の動物が描かれている。

22《鉄衣不老之図 大河内正質 1幅 明治10年(1877)》
大河内正質は幕末から明治時代を生きた大名。鳥羽・伏見の戦いに敗れて官位も領地も没収されるが、後に子爵となり、貴族院議員であった。鉄衣とは鎧のこと。鉄衣不老之図は、墨で松と霊芝が描かれ、不老長寿を願っている。

23《霊芝置物 1点 明治期(20世紀)》
よくできているなあと思って真剣に見た。説明文にマンネンタケと書いてあって、最初意味がわからなかったのですが、よくよく考えてみたら、そのものということで、作り物じゃありませんでした。そりゃあ、よくできているはずだ。

 

帰りはますます気温が下がり、自転車を漕いでいると足先が凍るような気分になってきたので、途中で温かいものを摂取することに。

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生き返った。

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レオナールフジタとモデルたち@DIC川村記念美術館

行きはJRで佐倉駅まで行きました。これが失敗。この日はとても冷えて9時の気温は2度。駅に止まるたびに風が入ってきて車内が全く暖まらず、ずっとガタガタ震えっぱなし。千葉の気温を舐めてました。網走に行ったときと同じコートにすればよかったと後悔したけれど、後の祭り。

 

駅からは無料の送迎バスがあります。駅から美術館まで約20分。f:id:Melonpankuma:20170108204923j:plain

園内は広大です。白鳥のいる池のほとりを歩いて美術館へ向かいます。
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入館してすぐ特別展の「レオナール・フジタとモデルたち」へ。

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美術館側の案内的には常設展を見てから特別展を回る順番だったのだけれど、疲れる前にと思って特別展を先に見ました。しかし、体が冷え切っていたため、心が開かれていないというか、やはり芸術品の鑑賞は精神的な余裕がないと難しいですね。初期の頃の作品は、流すように眺めてしまいました。

 

以下、気になったものを羅列。

073《ジャン・ロスタンの肖像 1955年 カルナヴァレ博物館》

074《カルチエ・ラタンのビストロ 1958年 カルナヴァレ博物館》

075《誰と戦いますか? 1957年 ミュゼ・メゾン=アトリエ・フジタ、エソンヌ県議会》

086《花の洗礼 1959年 パリ市立近代美術館》

087《君代のプロフィール 1938年頃 目黒区美術館

 

私は、今回の展覧会でポスターにもなった婦人像や評判の高い裸体画よりも猫や犬の絵、カフェなどの雑貨がぎっしり書き込まれたものだったり衝立やお皿などの細々としたものにむしろ魅力を感じました。
前半は婦人像や裸体画が多くて、なかなか心に残るものがなく、これは困ったという気分にさせられましたが、途中《ジャン・ロスタンの肖像》のあたりで、自分がもっている常識が鑑賞の妨げになっていると気づきました。今回はフジタの描くヌードの手法が、日本画でよく見る鉤勒法や胡粉をふんだんに使った表現(常設展にあった橋本関雪の木蘭の馬なんて、まさに)に近かったことが多分に影響したのだと思います。フランスでは異国的で特別なものと感じられただろうフジタの特徴が、私には格別なものに見えなかったし、逆に、私はフジタのフランスの香りがする絵に心動かされたというわけ。晩年、レオナール・フジタとなってから「日本びいきのフランス人」と評されたと知って腑に落ちました。

普段ほとんど西洋画を見ない夫も熱心に観ていたので、結構刺さるものがあったみたい。ランチ時に話をしたら、ダリみたいだと。確かに、セルフプロデュース能力抜群なところが共通していますよね。

 

お昼は園内のレストランへ。パスタランチのアマトリチャーナ

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園内を散策した後、改めて美術館に戻り、今度は常設展へ。

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西洋画がほとんどなのですが、日本画も一室だけ。 

《◎長谷川等伯 烏鷺図屏風  1605(慶長10)年以降》
長谷川等伯の屏風に会えたのは僥倖。カラスが黒々としていて、争うように飛び回っている姿が印象的でした。カラスが屏風に描かれているのを見るのは初めてです。八々鳥と比べてあまり描かれていないように思います。八咫烏とか神の使いをするくらいですから、古来不吉なイメージはなさそうですけど、不思議です。

上村松園 桜可里 1914-15(大正3-4)年頃》
上村松園の桜可里がかわいらしかった。これを見るのに初めて単眼鏡を手にして、そこで初めて西洋画を見るのには単眼鏡っていらないんだなあ気づきました。

橋本関雪 木蘭 1918(大正7)年》
六曲一双の屏風。画題は北栄で編纂さらた楽府詩集にある五言古詩、木蘭辞。ディズニーアニメのムーランもこれによる。二頭の馬を伴う男と木の根に座って休む男装の女。穏やかな表情です。

 

暖房が効かない電車で帰るのは懲り懲りだったので、帰りは東京駅までの直行バスを利用しました。
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一眠りしたら東京駅に着いていました。案外近い。

新春特別公開@東京国立博物館 本館

正月三が日が過ぎ、改めて平日に東京国立博物館の新春特別公開を含め常設展を回りました。

www.tnm.jp

 

全て書き出しておきたいものだらけだったのですが、厳選して紹介します(◉は国宝、◎は重要文化財、◯は重要美術品)。

本館 2室 国宝室

《◉ 松林図屏風 6曲1双 長谷川等伯安土桃山時代・16世紀》

霧がみえる。すごい。圧倒されます。
しっとりとした霧の中に浮かぶように見える松林。近づいて見ると驚くほどに荒々しい筆遣いで松が描かれています。遠景としてぼんやり山が描かれていますが、こんなにもけぶると本当なら山なんて見えないはず。稜線が見えるのは近いところに光があるからなのでしょう。のぼせ上がって写真撮るのを忘れました。

本館 3室 仏教の美術―平安~室町

《◎ 紺紙金字法華経 巻第四 1巻 平清盛平頼盛筆 加賀前田家伝来 平安時代・承安元年(1171)書写奥書》
撮影禁止なので、隣の《紺紙金字無量義経》の写真を撮りました。このように、紺紙に金字でお経が書かれています。平清盛が最初の十数行を書いて、残りを異母弟の頼盛が書いたようで、途中で筆跡が変わります。

《紺紙金字無量義経平基親願経) 1巻 平安時代・治承2年(1178)》

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本館 3室 宮廷の美術―平安~室町

《◉ 扇面法華経冊子 1帖 平安時代・12世紀》
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扇型の紙面に装飾を施し、法華経を書写して中央で綴じた冊子本。文字の下には経典の内容とは無関係な貴族や庶民の営みが描かれている。
写真は赤くなってしまいましたが、実物は金色です。

《扇面雑画帖 1帖 室町時代・15~16世紀》
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合計12面の扇面画。主題は物語絵、花鳥、風景とさまざま。

本館 3室 禅と水墨画―鎌倉~室町

《山水図屏風 6曲1双 「秀峰」印 室町時代・16世紀》
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一息ついて、この屏風の前のソファで長々と眺めました。こう大きいと山頂から山々を見渡しているような気になって、実に爽快です。説明に「瀟湘八景のうち七景が見出せる」とありましたが、月がないのかな。

本館 4室 茶の美術

《建水 1口 仁清 江戸時代・17世紀》
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野々村仁清は色絵とともにろくろの技に定評がある。この作品はそのろくろの技を遺憾なく発揮した秀作。内面に白釉をかけている。

本館 7室 屏風と襖絵―安土桃山~江戸

《雪景山水図(旧 帰雲院障壁画) 4面 円山応挙筆 江戸時代・天明7年(1787)》
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応挙54歳、絶頂期の作で、もと京都。帰雲院(南禅寺塔頭)の障壁画の一部。仙人たちが雲に乗り、雪山の間を浮遊している。金の背景に描き残すことで雪と雲を描いている。

《◎ 西湖春景・銭塘観潮図屏風 6曲1双 池大雅筆 江戸時代・18世紀》
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右隻が西湖春景図、左隻が銭塘観潮図。西湖は中国浙江省杭州にある湖。古来名勝の地として知られている。銭塘観潮は、同じく浙江省の銭塘江で旧暦8月18日に河を遡ってくる満潮を見物すること。
これ面白かった。離れてみると細やかなグラデーションでぬめりのあるような風景画だが、近づいてよく見るとボツボツと点描で描かれていて、墨の色も様々。ひょうきんな筆使いでした。

本館 8室 書画の展開―安土桃山~江戸

《富士山図 1幅 英一蝶筆 江戸時代・18世紀》
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東海道の難所のひとつ薩陀(さった)峠の山道から、旅人たちが駿河湾越しに富士山を望む。紅葉と印だけが赤。とても柔らかく優雅な絵です。

この日の8室は平日の静けさを取り戻して、静かでした。
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《花鳥図屏風 6曲1双 佚山黙隠筆 江戸時代・宝暦14年(1764)》
曹洞宗の禅僧で書家の佚山黙隠は清人の沈南蘋が日本に伝えた濃厚な花鳥画を習得。モチーフの種類や形態がよく似ているため、伊藤若冲との関連が注目されている。

《竹図 1幅 池大雅筆 江戸時代・18世紀》
上で取り上げた屏風と違って、伸びやかな筆遣い。竹のしなり、つけたてで描かれた笹の葉が美しい。節の点々がひょうきんです。池大雅はもっと見たいなあ。

《雪中棕櫚図 1幅 秦意冲筆 江戸時代・19世紀》
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やたら黒々とした棕櫚の葉といかにも重そうな雪。このぬめり感は若冲に似ていると思ったら、それもそのはず弟子とのこと。 

新三十六歌仙図帖 1帖 狩野探幽筆 江戸時代・寛文4年(1664)》
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後鳥羽院が選んだ鎌倉時代歌人三十六人の絵姿と和歌を描いたもので、嫁入り道具として調製させた豪華な画帖。

本館 10室 浮世絵と衣装―江戸(浮世絵)

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《雪中鴛鴦 1枚 鈴木春信筆 江戸時代・18世紀》
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降りしきる雪の中、夫婦和合の象徴である二組のオシドリの番と、それを眺める男女。 

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《万歳図 1幅 宮川長春筆 江戸時代・18世紀》
新年を祝って烏帽子姿で扇を持って舞う太夫と、太夫について鼓をうつ才蔵。
《羽根付図 1幅 礒田湖龍斎筆 江戸時代・18世紀》
《小松引図 1幅 歌川豊広筆 江戸時代・18~19世紀》
小松引とは、松の若木を、正月最初の子の日に引き抜いて庭に植えて長寿を願う遊びのこと。奈良・平安時代まであった正月風俗。

本館 12室 漆工

《◉ 舟橋蒔絵硯箱 1合 本阿弥光悦作 江戸時代・17世紀》
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琳派の祖、本阿弥光悦の代表作。高く盛り上げた蓋には波と小舟が描かれ、舟の上に幅広い鉛の板を掛けている。その上から、後撰和歌集、源等(みなもとのひとし)の歌「東路の佐野の舟橋かけてのみ思い渡るを知る人ぞなき」から「舟橋」の字を省略したのを銀の板で散らし書きしている。

本館 14室 掛袱紗―祝う心を模様にたくす 

掛袱紗(かけふくさ)は、祝い事で贈り物をする際に、お祝いの品の上に掛ける覆いのこと。年始の挨拶や節供、中元や歳暮、婚礼や長寿のお祝いなど、日本の伝統的な行事や祝い事に合わせてあつらえられたという。

《若松鶴蒔絵広蓋 1面 江戸時代・18世紀》
《袱紗 紺繻子地貝桶模様 1枚 江戸時代・19世紀》
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広蓋はもともと衣服などを贈る際に長持などの蓋にのせて渡したことに由来する。その後、その覆いとして掛袱紗の習慣が生まれた。この広蓋には、黒漆の地に若松と吉祥文様の鶴が蒔絵で描かれている。袱紗は紺の繻子地に金糸の刺繍で夫婦円満を願う貝桶模様。貝殻の内面にそれぞれ凝った絵が描かれている。

本館 15室 臨時全国宝物取調局の活動―明治中期の文化財調査― 

《◉ 紅白芙蓉図 李迪筆 中国 南宋時代・慶元3年(1197)》
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李迪は南宋に活躍した画院画家。南宋院体花鳥画の最優品。

《鑑査状(紅白芙蓉図) 1枚 明治26年(1893)3月17日》
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紅白芙蓉図に対して臨時全国宝物取調局から発行された監査状。


明治21年(1888)から22年にかけて近畿地方で実施された宝物調査に同行した写真家、小川一真による調査写真。

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《◎ 猿猴群遊図屏風 1枚 小川一真撮影 明治21~22年(1888~89)》
記録写真が重要文化財になるというのもなんだか不思議。元絵不在だったりするんでしょうか?

 

今回も消耗しきってトーハクを後にしました。
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家に帰るためのエネルギー補給で、スタバでチョコラティ バナナココのホイップましまし。
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ドリンク受け取り口の横に、おめでたいチョークアートがありました。

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DAVID BOWIE is @寺田倉庫G1ビル

David Bowie の一周忌である今日、私はデヴィッド・ボウイ大回顧展 DAVID BOWIE is に行きました。

davidbowieis.jp

デヴィッド・ボウイは、十代の頃から憧れの人です。でも、あまりに憧れてしまうと生身の人間であることさえ信じられなくて、端から遠い人だから訃報も現実味がなかったのですが、昨年1月の末に新宿ピカデリーで特別上映されたドキュメンタリー映画 David Bowie is を観ていたら、あぁ、このきれいな人はもういないんだと急に思い出して泣いてしまいました。

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その映画の中だけだった展覧会が、ようやくやってきました。この展覧会は、既にイギリス、カナダ、ブラジル、ドイツ、アメリカ、フランス、オーストラリア、オランダ、イタリアと9カ国を巡回していて、アジア巡回は今のところ日本・東京だけとのこと。ありがたいわー。わざわざ来ていただいて、心からうれしい。

 

まずは会場のすぐ近くで朝カフェ 。
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会場は天王洲アイルにある寺田倉庫G1ビルです。
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建物のすぐ前に目立つ看板があります。この写真を撮っているところのすぐ横に、今回の展覧会で特別にデザインされたジャガーとランドローバーが停まっています。つい看板に目が行ってしまうので、お見逃しのないように。

私は、10時~12時のチケットで入場。この2時間の範囲ならいつ入ってもよいそうで、退場時間は自由です。時間前に到着した人で行列ができていましたが、開館時間になったらすぐ入ることができました。ちなみに、展覧会場内飲食禁止、お手洗いは建物の1階にあるだけです。一度出たら再入場できないので、ご注意を。
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入ってすぐにヘッドホンが貸し出されます。こちらを装着して展覧会場に入るわけですが、受信機の具合や場所によって音が受信しにくい場合がよくあります。私はコートの前を開けて着ていたら、コートの内側に受信機が入ってしまって、最初の部屋で全く音が受信できないでいました。モニタがたくさん並んでいるところなどでは隣接している音を受信してしまったり、音があるはずの場所で受信しにくくて、うろうろと場所を探ったりと、戸惑うところも多々ありました。

今回、展示物の紹介は控えます。どちらかといえば音楽の展示がメインだし。しかし、間違いなく、デヴィッド・ボウイのファンなら大満足なものばかりです。
それにしても、なんでこんなにも資料が残っているのか不思議。だって、10ヶ月頃の写真とか残っているんですよ。特別な才能のある方だから、もしやこの展覧会を予見していたのかもしれません。

映像ものが多いので、全部観ていると時間がいくらあっても足りません。展示物に浸りきってしまった私の場合、気がついたら入場してから5時間が経っていました。

こちらは出口エレベーター前にある映像。写真だけ撮影可。デヴィッド・ボウイからお誕生日のお祝いのメッセージがもらえます。
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自分の誕生日になったら、この写真がメールで届くようにセットしておこうと思います。

一階にはオフィシャル・ストアとDAVID BOWIE is CAFEがあります。
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カフェでデヴィッド・ボウイの曲を聴きながら、展覧会の余韻に酔いしれていたら、なんだか眠くなりました。消耗しすぎ。
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帰りには、一周忌ということでサインボードの前に献花台ができていました。展覧会の興奮そのままで、ありがとう、ありがとうといくつ感謝の言葉を書いても書き足りない気分ではありましたが、一回書くだけに留めました。
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